02
『……うわぉ』
鍛練していると、真っ白な文が飛んできた
これはこの国で…いや宮廷でも、"限られた者"にしか使えない"秘術"
『呼び出しかよ…』
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『アスラ、参りました』
「有無、良く参った」
俺の眼前にいるのは、現皇帝である練紅徳であり。この部屋は彼の自室である
「"報告"を」
『は。以前報告した通り、やはり障気…邪気が蔓延しております。民の中には邪気に当てられ、床に伏せている者も少なくありませぬ』
「…そうか…」
周囲では彼を愚昧とか、アル・サーメンの操り人形とか、ジュダルなんかブタ野郎呼ばわりしているが…本来の彼は全く違う
彼は兄・前皇帝が暗殺された真実を知って尚、練玉艶を妃へ迎えた
これ以上の被害を防ぐ為に
『宮廷内は出来るだけ手を尽くしておりますが、妃様のお目がある以上どうしても…』
そして彼は、悪魔についても理解を得ている
だからこそ今の会話が成立しているのだ
「いや、構わん。宮廷内は仕方なかろう…苦労をかける」
『何を仰います、陛下。これが私の本来の役目であります、陛下がお気に召されるような事はありませぬ』
「全くお前という奴は…宮廷内より市中を優先、市民の身の安全を第一優先とす。必要なものがあれが随時用意させる。よいな?」
練紅徳という人物は、野心家であり、策士であり、民を思いやる優しい皇帝サマ
その本当の姿を知る者は数少ない
『は』
(時にアスラ。お前、嫁に行く気はないか?)
(ない)
(少しは考えんかい…)
(えぇ…)
(お前がそんなんだとな、ワシがラジッドに申し訳ないわ…)
(むぅ)
if 2夜 隠蔽された姿
現皇帝陛下捏造
ifシリーズは本編より捏造比率が高いので、ご了承下さい