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シンドリア王国
『七海の覇王』の通称を持つシンドバッド国王が治める、南海の島国。多民族国家で成り立っている故か、面積規模は大きくないものの、島国としては栄えており。経済成長期の国家とも言える
そんな国に、最近奇妙な【噂】がまことしやかに流れていた***
「………まいったな」
国王シンドバットを始め、彼の忠臣達も頭を悩ませる事柄。それは市中に流れている【噂】だった
単なる噂なら流すだけなのだが、ネタがある【噂】なら話は変わる
「デマと思い込んでいたのが、間違いでしたね」
「てか普通思わねぇじゃんか。まさか【悪魔】がいる…なんてよ?」
そう【噂】というのは…
悪魔に憑り付かれ、悪事を成すというもの。彼等も最初はデマと思っていたのだが、ここ数日何らかに操られた住民が、悪事を行う事件が多発していた
「でもでも!みーんな覚えてないって言ってた」
「有無。彼等に悪事をするという理由がない」
操られていた者達は全て当時の記憶が全く無く、しかも犯罪を犯す理由すらない者ばかり
「私の魔法でもダメ、だって魔法で操られてるんじゃないもの」
「役にたたねぇなぁ」
「なんですってぇ!」
そんなこんなで
解決策が見出だせないままで、会議は終了。原因も分からず、犯人すら分からない今回の一件に、国王は再び重いため息を漏らした
***
『………悪魔、ねぇ』
1夜 新たな幕開け