19

マスルール視点


「うわぁ…アスラお姉さんすごくキレイだよ!ね、アリババくん?」

「ああ、すげー似合う!モルジアナもそう思うだろ?」

「はい、勿論。アスラお姉ちゃんは何でも似合うんです…」

「「目がキラキラしてる…」」



アスラを宴に連れてきた
正直シンさん達には今のアスラを見せたくなかった。けどヒナホホさんや将軍、モルジアナ達は別だ…見せたら喜ぶと思ったし

予想以上に喜んだのは子供達だが、アスラと接触したのはモルジアナだけじゃなかったか?



「二人共、アスラと接点あったのか?」



疑問に思ったのは俺だけじゃなかったようで、シンさんが首を傾げながら二人に問いかけた



「あ、はい。文献を探している時に助けて頂きました」

「僕は王宮で迷ってる所を助けて貰ったのさ」



なるほど
アスラは文官、文献を探すのは訳ないな。アラジンに至っては…子供好きだったからだろう



『君達ね…』



あ、照れてる
褒められるのに慣れてないのか?どちらにしても貴重だ



「お、珍しいな。アスラが照れてるなんて」

『ヒナホホ様っ!』

「アスラねーちゃんだ!」

『ん?』



聞き覚えのある声が、背後から響く
アスラと後ろを振り向いてみると、ヒナホホさんの子供達が勢揃いしていた



「ねーちゃん!すげーキレイ!」

『おー。ありがとな』

「いっつもそんな格好すれば良いのになー」

『減らず口を言うのは、この口かなぁ?』

「イテテッ!姉ちゃんカンベン!」



普通に子守りしてる感じに接してるが、良いのだろうか?
……やっぱり。知らない人達が皆、固まってるな



「王宮で働いている時と、全く別人ですね…」

「まぁ驚くのも無理ないな、アレがアスラの素だ」

「男勝りでな、妻も嘆いていた…」

「そ、そうなんだ…」



言われたい放題だな、アスラ

俺はどちらかというと、今のアスラの性格の方が良い。気を使わないで話せるし、さっぱりして他の人達より会話しやすい



『……………ん?』

「アスラ?」



突然、アスラが視線を空に向ける
その視線は鋭く、何時もは雰囲気が違ってた



『なん、だ?』



空をじっと見つめる
その先を俺も追うと、僅かにだが黒い雲の様なものが見えた

あの黒い雲、嫌な感じがする



「どうした?」

「…見えて、ない?」



どうやら黒い雲は俺とアスラにしか見えてない

と言うことは…



「アスラ、まさか…」

『その、まさかだろ』



19夜 暗雲




***
マスルール視点はやはり難しい…


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