16

マスルール視点


「それでは…八人将全員揃いましたね?では、始めましょうか」



気分が重い
理由はジャーファル先輩が、俺達八人将を内密に召集を掛けたから

…多分、アスラの事だ



「皆さんもご存知かと思いますが、現在私の補佐官にアスラという女性が暫定的ですが付いております。彼女を正式な補佐官にするか、皆さんの意見を聞きたいのです」



正式な補佐官?
そんな話はアスラから全然聞いてない…

いや、それよりも。正式な補佐官になったら、アスラは大丈夫なのか?今でさえ大変なのに



「ジャーファル、俺そのアスラって奴知らねぇんだけど?」

「あら私もよ」

「私見た事ある〜!でもお話したことはないなぁ」

「…私もです」



…アスラは結構目立つ方だと思ってたのは、気のせいだったのか?



「とても優秀な文官ですよ」

「へぇ〜」



ピスティさんの目が輝いてる、あれは好奇心の目だ絶対



「あぁ。確かにあの嬢ちゃんは良い娘さんだ、若いのにしっかりしてる」

「有無。アスラは自身をしっかりと理解しておる」

「お?ヒナホホとドラコーンは顔見知りっぽいな」

「顔見知りも何も、俺はあの子にゃ頭が上がらんよ。何せいっつも世話になってるからなぁ」

「………あぁ、確かに」



向かいの家だからか、アスラとヒナホホさんは仲が良い。というか寧ろ親子みたいな関係に近いと思う



「え、ちょ、どういう事!?」

「あの子は俺のお向かいさんでな、いやぁ…色々世話になってるんだ。特にチビ達の面倒とかな」



あ、言った
将軍は知ってたから慌ててない。けど他の皆は知らなかった様で、目をこれでもかってくらいに開いてる

…まぁアスラ言ってなかったし



「お向かいさんっ!?」

「ああ。いつも子守り任せちまっててなぁ…いや本当に頭上がらねぇよ」

「…アスラ、子供好きだから…」

「マスルール…貴方知ってたんですか?」

「つかマスルールも手伝ってくれてんぞ」



悲鳴が響く、耳が痛い
ヒナホホさん、それは言わなくてよかったんじゃないスか?



「お前が、子守りぃ?」

「何事も経験だ」

「将軍、それ何か違うと思う」



話、なんかズレてないスか?
俺が疑問に思ってると、ジャーファル先輩がわざとらしく咳払いをした



「とにかく。そのアスラを正式な補佐官に任命したいのですが…」

「問題あるの?優秀なんでしょ?」

「彼女には不可解な行動が見受けられます」



その言葉に、空気が一変した
"不可解な行動"は"悪魔退治"の事だ…けどそれを知ってるのは俺だけ。多分ヒナホホさんや将軍も薄々勘づいてる



「不可解、ねぇ…」

「間者の可能性もなくはありません」

「でもそれと正式な補佐官任命と、どう関係してるの?」

「正式な補佐官に任命する事で行動を制限、彼女がシロかクロかをはっきりさせます」



制限?
今まで悪魔を退治してきたアスラの行動を?そんな事したら、悪魔の被害は広がる。アスラにしか悪魔は退治出来ないのに



「…………反対っス」

「マスルール?」

「アスラはシンさんを…この国を裏切るなんて事しない」

「ですが…現に…」

「アスラはしない!」



いつもこの国の為に、身体を張ってる。悪魔の被害を出さない様にと、試行錯誤してる。そんなアスラが間者な訳がない



「…マス、ルール…」

「…お前…」

「アスラは間者じゃない」


(マスルール…漸くお前にも春が来たかっ!)
(は?)
(あの、マスルールがねぇ…)
(良いじゃねぇか、似合いでよ!)
(有無、良き夫婦になろう)
(だから将軍、先走り過ぎますよ)

(……結局、何も進展無しですか…)



16夜 真実は何処?


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