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第三者視点


「アスラ様、少々宜しいでしょうか?」

『ん?君は黒秤塔の女官の…』



お帰り支度をなされているアスラ様を引き留める為、お声を掛けた
文官として類い稀なる才能を持つアスラ様は、私達女官の憧れ…そんなアスラ様が私などを覚えて下さっていたなんて光栄です!

ではなくて。本題を…



「あの…不躾で申し訳ありません!マスルール様との噂は誠なのでしょうかっ!?」

『………噂?』



王宮に広がるお二方の噂
私はこの噂が真実か否か、他の女官から聞いてくる様良い使ったです。くじで負けてしまった為に…くじ運ないのかしら私?

私の事はともかく
アスラ様のご様子がおかしい。目を見開かれて、お口が開いたままに…あぁ貴重なお顔が拝見なされて嬉しゅうございますー!



『噂って…マスルールとと私の噂があるのかい?』

「ご存知、ない?」

『ない。というか、噂云々に興味がないから』



まさかの、展開です!
ご本人が噂をご存知なかったなんて…先程の反応にも納得できますね




『ソレってどんな噂なんだい?』

「え…」

『えじゃなくて。君は知ってるんだろ、その噂』

「え、えぇ…私だけでなく恐らく、王宮で知らぬ者は少ないかと…」



お二人のお噂は王宮内に瞬く間に広がりましたから、逆に知らない方が希少な筈です。色々な噂を聞いて参りましたが、こんなに早く知れ渡った噂は初めてでは?

ですがやはり王宮
噂に尾ひれはつきもので、内容が恋仲系なので余計です



『んで。どんなの?』

「そ、それが……"アスラ様とマスルール様は将来を誓い合った仲"、とか"既に夫婦"とか…」

『………尾ひれが付くにも限度があるだろ……』



予想以上だった噂の内容に、アスラ様は思わず呆れながら盛大にため息を漏らしました

確かに内容を聞く限りでは少しばかり無理なものもありますが、普段のお二人から出た噂なので何とも…



「では噂は…」

『根も葉もないデタラメ。つかマスルールとはそんな関係じゃねぇよ』



だ、断言されますか…



「そう、なんですか?お二人共砕けた口調でお話していますし、呼び捨てで呼んでいらっしゃったのでてっきり…」

『あー…アイツとは年近いからさ』



そう言われてみれば、お二人はお年が近い方々でしたね
ならば気が緩み、口調が砕けてしまうのも納得します



『つか王宮にんな噂があったのか…知らなかったわ』

「……………」

『ん?どした?』

「い、いえ!何でもございません!私こそ不躾なご質問、失礼致しました!」


(無自覚なのかしら?)
(マスルール様の事を話してるアスラ様…)
(やだ、アスラ様可愛い…)



11夜 ある女官と補佐官


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