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「そういやお前、正式な補佐官になるんだって?」
先輩、嫌な事を思い出させますな…
『いや、まだ暫定的』
「は?」
『シンドバッド国王が今不在中』
「……あぁ」
そう、今国王は不在
バルバットの件で、煌帝国へと出向いているのだ。その為、俺の正式補佐官話も延びている訳で
このまま話が流れてくれないかなぁと願っている、無駄だと思うが
「つか最近余裕そうだが…体調とか大丈夫なのか?」
『ん。"本職"の方が落ち着いてるから、比較的』
「にしたって複雑だよな…我等が主が不在って時は、アイツらめっきり姿見せやしねぇ」
『まぁそれの方が俺としては助かるんだけど』
ここ最近の傾向で判明した事
矢張悪魔達はシンドバット王の…ジンの強大な力に牽かれている。現に国王が不在の時、悪魔達の出現は半分以下
恐らく通常のジンの力のみでは、ここまで異常な事にならない。複数所持しているシンドバッド国王だからこそ、現れる現状なのだろう
「煌帝国の方にも複数所持者はいただろ?」
『数が違う、数が』
我等が主の所持する数は7つ
1つだけでも強大な力を秘めているのが、7つも集まってれば、そりゃ悪魔達も牽かれる訳で
同時に俺の"本職"も忙しくなる
「気をつけろよ」
『…何が?』
大丈夫だ、先輩
国王や八人将様達から目を付けられている事位、気付いているさ。勿論ドラコーン様やヒナホホ様、マスルールは除くが
だがそれも仕方ない
"本職"の事を考えれば、上役の方々は知らない方が良い。というか寧ろ知るな、絶対首を突っ込む
……国王辺りが特に
「とにかくだ。俺はお前の味方だからな」
胸を張る先輩が嫌に眩しい
悪い人じゃないんだが、如何せん熱くなり易い所が難点
『頼りにしてます、色々と』
「任しとけ!」
10夜 疑惑