09

『…………』

「…………」



え?何、この子?
マスルールに瓜二つなんだが、アイツには弟妹がいるとか聞いてない

生き別れの妹かっ!?



「違うからな」

『いたのか』

「いた」


いつから背後にいた?
つかお前、今人の考え読んだよな?

そんなスキル何処で覚えてきた…



「モルジアナ、同じファナリスの出だ」

『にしてはソックリだな…生き別れの妹かと思ったぞ?』

「……………違う」



何だ、今の間は
すげぇ気になるが、モルジアナを放置する訳にもいかんからな



『自己紹介が遅れてスマナイね、私はアスラ。政務官ジャーファル様の補佐官をしている』

「モルジアナ、です」



…………………



『ちょ、マスルール!なにこの可愛い生き物!頂戴!』

「やらん、というか落ち着け」

『っ!?』



いったぁぁ!?
ちょ、マスルール!お前最近俺に対して、ツッコミが厳しくなってやしないか!?

……ファナリスのチョップは痛いよ



「あ、あの…大丈夫、ですか?」

「モルジアナ、自業自得だから心配するだけ無駄だ」

『ひでぇ扱い…』



マスルールの心境の変化は、まぁ良い方向と思いたい、うん

だが目下、俺の興味は眼前にいるモルジアナだ



『しかし…まさかマスルール以外のファナリスと会えるとはな。モルジナア、君も驚いただろ?』

「…はい。でも、嬉しいです」



なんて可愛いっ!
そういや良く良く考えりゃ、俺に肉親はいない。だが家族当然に育った人達もいれば、義理の家族もいる。"義兄"や"義弟"などはいたが、"妹"はいなかった

新鮮、だな



「…どうした?」

『あ、いや。妹ってこんな感じなんかなって』



自然とモルジアナの髪を撫でる
その行為に慣れてないのか、少し身体を強張らせたモルジアナだが、次第に表情が緩んでいく

そういや泣き虫だった"義弟"も、彼女位だったな



「…アスラさん…お姉さんみたい」

『嬉しい事を言ってくれるね。モルジアナみたいな可愛い子を妹に欲しがったんだ』



夕日の様な、ルビーの様な美しさを持つ紅蓮の髪を、俺はもう一人知ってる。コイツも"家族の温もり"ってヤツを求めていた

君が欲するならば、我等は与えよう



『モルジアナ。今なら君と瓜二つな兄貴がついてくるぞ?』

「おい」

「……マスルールお兄ちゃん…アスラお姉ちゃん…」



コテリと首を傾げながら、モルジアナは小さく呟く

っー!この可愛い生き物は、俺を悶え殺す気かぁぁ!
…あ、マスルールが照れてる。珍し



『モルジアナ、皆には内緒…な?』

「うん」

(アスラ、お姉ちゃん…キラキラして良い匂いがする)
(優しくて格好よくて、まるで…)



9夜 渇望する思い


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