6.5
アリババ視点俺には、姉がいた
とは言っても義姉で、血の繋がりは全くない。けれども庶子である俺に優しく接してくれ、生きる術を教えてくれ、時には厳しく律し
もう一人の母の様な存在だった
《覚えておきなさい、アリババ》
《貴方は何れ、過酷な選択を強いられる時がくる》
「かこく?」
《辛いってこと》
「いやだ!」
《そうね、皆辛いことはいやね。でもそれは、アリババの試練でもあるの》
「しれん?」
《そう、試練。覚えておきなさい、アリババ。命は欠けがえのないもの…命と誇りと知識があって私達が存在する》
「…………」
《どれも欠けてはいけないの、欠けていてはいつか"堕ちて"しまうから…無くさないでね?》
「うん!なくさない!」義姉さんは今のバルバットを予見して、俺に色々と師事してくれたのだろうか?
太陽の様に眩しかった義姉さんは、今ここにいない。父上が亡くなる数年前に見物を広げる為に、と世界へ旅立った
あれから何年経つ?
俺は同時の様な無力なチビじゃなくなった、けれどこのバルバットを救えるのだろうか…?
《一度決めた事は貫き通せ、揺らぐな!》
そうだね、義姉さん
俺は一人じゃない、仲間がいる。だから諦めない!
6.5夜 太陽の君