最強の傍観者

平行線…
同一平面上にあって、どこまで延ばしても交わる事のない二本またはそれ以上の直線。互いの意見・主張などが対立したまま、どこまでいっても一致しない事


『……………』


武蔵艦内に警報が、けたたましく鳴り響く。それを私はただ無表情で聞くしかない

私は"唯の一般市民"でしかないのだから


「ねーちゃん…にぃちゃんだいじょーぶかな?」
『大丈夫、信じよ?』
「……うん」


生徒会の方針云々に、何ら文句はない。寧ろ私は文句を言える立場ではない

然れど無理と無茶は履き違えるな、と彼等に心の底から叫びたいのも、また事実

唯一私に出来る事と言えば、私を受け入れてくれた"彼"の身を祈る事と。"彼の弟妹達"を守る事だけだ…"術"を持ち合わせている癖に、"所属先"を持ち合わせていない己が、歯痒くて仕方ない


「こういう事は、俺に任せろ」
『けどノリキッ…!』
「お前は俺の、"帰る場所"だから…待っててくれ」


あんな事を言われて、揺るがない女はいないと思う。というか…無意識で天然に言う辺り、アイツはタチが悪い

個人的には第一特務と、そう変わらぬ実力を持ってはいるつもりだ。相対になった所で負けるつもりは毛頭無い、神奏術が使えない所を差し引いても"特殊能力"があるので差し引きゼロなのだが…如何せん、どっかの幼馴染みが口煩い事この上ない


『戦闘能力持つ一般市民ってどうよ…』


この件に関しての意見は、常に平行線なので今や諦め半分になっているが…

とか思っている間に、警報はいつの間にか鳴り止み。見慣れた体躯が、ゆっくりと此方へと歩んでくるのを視界に捉える

…あぁ、今回も無事だったか


「にーちゃん!」
「にぃちゃんだ!」


先程の不安は何処へやら?弟妹達は満面の笑みを浮かべ、走り出す。私はただ彼を待つ


「……ただいま、鈴々音」


笑みと共に言われた言葉
それに私は満面の笑みで応えよう


『お帰り、ノリキ』


後日
実況通神にて、この事が流れてノリキが叩かれた…と知るのは、後の事


「ノリキー?あのすんげぇ美人さん誰なのかなー?」
「……………絶対教えん」
「怪しいー!!」
「(一体何処から漏れた?)」

「(まっずー…ちょーっと話題として口滑らしたら、とんでもない事になっちゃったよ…ま、いいか)」


****
境界線、ノリキ夢
夢と言えない代物だが、まぁ良しとする←え
何処でも大丈夫な内容にしたけど、個人的には英国前辺りをイメージ

因みに名前で分かる様に、相手は転生繁桜夢主。現時点で彼女の全てを把握しているのはノリキのみ


12.10.18.


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