サトシと別れて数年――





「カスミィ、そろそろ身を固めたらどぉ?」

「…ごめん、サクラ姉さん…」

「…そう…」





もう私も20歳を越えた…


だからかサクラ姉さん達は、私を気遣う様になった




けど私はずっと話を蹴ってた


…あの…輝く瞳を、私は忘れられない…





「…馬鹿…」





ポケモンマスター

それが彼の夢…けれどそれは険しかった



既にアイツは10年以上旅を続けている

けれど…サトシがポケモンマスターになった、という話は聞いてない





「……馬鹿、サトシ……」





首に下がる瑠璃色のペンダント


何時か、サトシが顔を真っ赤にしながらくれたプレゼントだ



…これが、私とサトシの唯一の繋がり…





「…何時までも、待ってられないわよ…」

「それは困るな」





ポツリと呟いた私の言葉に、返答が返って来た


顔を上げたら、そこにはリザードンに乗ったサトシの姿





「サ、トシ?」

「…只今、今帰ったぜ」





外見こそ昔とは変わってしまったけど

柔らかく笑んだサトシは、昔と変わってなかった





「…っ、お、遅いわよ!」

「酷ぇな…これでも夢を叶えてきて、真っ先に来たんだぜ?」

「え、叶えてきた?」





するとサトシは不敵な笑みを浮かべた





「なったぜ、ポケモンマスター」

「……嘘」

「だから、迎えに来た。覚えてるか約束?」





いつか、サトシと約束した


ポケモンマスターになったら、サトシは私を迎えに来る

…その時は…





「本気だったの!?」

「…マジで酷ぇな。一世一代のプロポーズ、として言ったんだぜ?」





…言葉が無い、と言うのはこの事だ

サトシは笑みを絶やさず、私に手を差し延べた





「カスミ」

「っ!…絶対に幸せにしてよっ!」

「当たり前だ!」





姉さん達、ごめん

私は…サトシと生きます!





「サトシ」

「んあ?」

「お帰り!」

「……只今っ!」





≫愛の逃避行…一発からコレかよ…(笑)

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