#06

*グロ表現、多少有り
「虎徹ー?アンタ、風呂に入ってきな!」
「んー」


陽も落ち、空はすっかり闇に包まれた頃

キッチンでは虎徹さんのお母さんと椿さんが仲良く夕飯を作り、僕達は楓ちゃんと銀河君の相手をしていた


「虎徹おじさん!僕も一緒に入っていい?」
「ん?構わねーよ。バーナビー、悪ぃがお前さんは後から入ってくれや。流石に三人だと狭いからな」
「了解」


銀河君からのお誘いには多少驚いたが、納得は出来る。楓ちゃんが椿さんに母親を重ねている様に、恐らく銀河君は虎徹さんに父親を重ねているのだろう

というか。オジサンと一緒の入浴は御免被ります


「お母さーん!虎徹おじさんと一緒にお風呂入るー!」
『あら、そ?迷惑掛けるんじゃないよ』


椿さんも銀河君の事を気遣ってか、何も口出しはしない。勿論虎徹さんも気付いている筈だ


「うん!」


この満面の笑みを見てしまったら、言葉なんか掛けられない…ですよね


***


銀河君は良い子だ
最初会った時は、楓の彼氏かと勘違いしちまったが…これがまた、この子も楓みてぇに確りしてやがる

母子家庭で育ったらしいんじゃ、確りするわな。しかもネクストときた、母親の椿先生はまだ若いってのに出来た女性だよ全く


「……銀河、君?」
「あ、ごめんなさい。気持ち悪い、ですよね」


銀河君の要望で一緒に風呂に入る事になったんだが、俺は脱衣場で己の目を疑った

何だ、それは?


「……銀河君。それは…」


銀河の未発達の身体に、目を覆いたくなる様な傷痕がそこらかしこに…これは虐待の跡じゃねぇか!


「これは…"前のお母さん"から…受けたんです」
「…前?」


逸る気持ちを抑え、とりあえず風呂に入りながら話を聞く事にした。このまんまだと風邪引ぃちまうしな


「痒いとこはねぇか?」
「はい」
「んじゃ流すから、目ぇ瞑ってろよ?」
「ん」


あー…息子がいるって、こういう感じなんだな。バーナビーとはまた違った感覚に、むず痒くなる。身体も洗い終わり、湯船に浸かりながら、銀河君はポツリポツリと話してくれた


「僕とお母さん、本当の家族じゃないんです」
「へ?じゃ何?銀河君、椿先生の養子って事?」
「……はい」


確かに外見的に似てる所が少ねぇな、と思ってたが…まさか養子だったとはな

て事は?椿先生、未婚?


「今のお母さんに引き取られる前も母子家庭で、前のお母さんと二人で頑張ってたんだけど…」
「…銀河君がネクストに目覚めちまった」
「うん。それからお母さん、変わった。僕を見ようとしなくなった、辛い事いっぱいあった」


恐らく銀河君の実母は、ネクストに対して嫌悪感を持ってたんだろう。そして目覚めちまった銀河君に…虐待していた。くそっ、胸糞悪ぃ!


「凄い辛かった…そんな時に今のお母さんが来て、助けてくれたんだ」
「…そうか。頑張ったな」


ゆっくりと優しく銀河君の頭を撫でてやると、次第に瞳が揺らいでいく

湯船のお湯をかき割り、銀河君は俺の胸元へと抱き付いてきた。嗚咽を洩らしながら


「お、父…さん」
「…………」


小さく呟かれた言葉に、心臓が鷲掴みされた気がした


痛み半分、温もりは二倍

(遅いねぇ…何してんだろうね?)
((銀河、お前まさか…仕方ない、か))

***
兎→虎視点
与えられた温もり、応えられぬ返答


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