#05

『銀ー!楓ちゃーん!数値測るよー?』
「「はーい!」」


鏑木家到着後から数時間後
鞄からPCを取り出しながら、椿さんは銀河君と楓ちゃんを呼んだ。というか数値って何だろう?


「先生、数値って何スか?」
『簡単に言えば、ネクスト能力数値』
「「能力数値?」」


つい虎徹さんとハモる
聞き覚えのないワードに、僕達は首を捻るだけ

そんな僕達を余所に、子供達は椿さんの元にやってくる。すると彼女は鞄から何やらコードを引っ張り出した


『さて、と。はい』


それは先端がクリップの形状になっており、そのクリップはコードと繋がり。椿さんはコードをPCに接続し、楓ちゃんと銀河君は手慣れた様にクリップを指先に挟んだ


『そいじゃ始めるよ』
「「うん」」


カチリと椿さんが、キーボードを叩く。すると二人から青い光が放たれる…これはネクスト?

一体、これは?


『……うわ、流石現役HEROなだけあるわぁ』


PCの液晶を眺めながら、椿さんは苦笑を漏らす。そして未だに理解出来てない僕達へ、視線を向けた


『これはね、ネクストの能力を数値として計測出来るシステムなの』
「へぇー…そんなの、あるんだねぇ。オジサン、初めて聞いたわ」
『あぁ、一般には出回ってませんよ。このシステム、私が開発しましたから』
「「えっ!?」」


その事実に、思わず虎徹さんと顔を見合せた
一介の学校医が、こんな研究者顔負けのシステムを作ってしまうなんて、有り得るのだろうか?


「母さん、どうだった?」
『いやー…やっぱ二人の影響受けて、数値跳ね上がってるわ…こりゃリミッター作り直す必要あるかなぁ』
「先生、私は?」
『楓ちゃんも。特殊系統は余り影響出ない傾向なんだけど…流石は親子、かな?』


椿さんの指先が素早くキーボードを叩く
システムの事は置いておくとして、彼女はかなりネクストに詳しい。いや詳し過ぎる


『二人共、新しいリミッターが出来るまでネクストは使用禁止』
「「…はぁ〜い」」
『暴走したいか、コラ』


ここまで詳しいと、つい本当に一介の教師なのだろうか…と疑ってしまう
職業柄仕方ないとはいえ、何とも嫌な思考だ


「先生、詳しいっスね」
『あぁ…銀河の為に、年甲斐なく猛勉強しましたよ。このシステムも、ね』
「成る程…」


目を細めながら、虎徹さんは液晶画面を見やる。恐らく椿さんの言葉を信じたのは、半分位だろう

いくら息子の為とはいえ、一般市民がここまで詳しいのは裏がありそうだからだ。リミッターの件もあるし


『それに私、元々教師免許は持ってましたけど、前は技術屋だったんです』
「え?そーなの?」
『ええ。銀河を養う為なら何だってしますよ』


そう言葉を紡ぎながら、彼女は不敵な笑みを浮かべる

……見掛けによらず、椿さんはアグレッシブだった


女性は秘密を纏って美しくなる

(喰えない人っスね、先生)
(あら?虎徹さんこそ、昼行灯じゃないですか)
(良く見てるなぁ)
((バーナビー/君、着目点そこ!?))

***
兎視点。能力数値等は捏造


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モドル

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