「お父さん!この人が銀ちゃんのお母さんで新しい保健室の先生!」
『お話は楓ちゃんからいつも伺っています。改めて、初めまして。銀河の母親の椿、と申します』
「あ、いや…こちらこそ楓が世話んなってるようで…」
銀河君のお母さん、椿さんの劇的登場から数分
虎徹さんは慌てた様子で会話を交わす、たどたどしい口調が何とも頼りない…
楓ちゃんの話によると、椿さんと銀河君は母子家庭だという。今は鏑木宅と家族ぐるみで付き合いがある程、懇意にさせて貰ってると…確かに母一人子一人じゃ、何かと不便苦労はあるだろう
『本当に皆さんには感謝してもしきれないですよ』
そう言いながら、椿さんは柔らかな笑みを漏らす。彼女は穏やかな空気を纏っている、苦労なんて気付かせない様に
そうか
虎徹さんに似てるな、と思った理由はコレか。彼もまた、本音を吐き出さない人だ。それが自身の事なら尚更
……案外この二人は似た者同士かも知れない
「へぇ。銀河君もネクストなんだね」
「うん!パワー系の」
「お、俺と同じじゃん」
話を交わしている内に、銀河君がネクストと判明。じゃ椿さんもネクストなのかな?
「虎徹おじさんとお揃い?」
「おぅ、俺もパワー系」
「じゃ色々教えて!」
「いいぜ!」
見掛けによらず子供好きなんですよね、虎徹さん。銀河君とあっという間に仲良くなってるし、というか楓ちゃん放置してませんか?
『やっぱり男同士だね、早くも意気投合』
「も〜!お父さんも銀ちゃんも!椿先生、私達は私達で仲良くしよう?」
『はいはい』
あ、こっちはこっちで何とかなってる
というか僕、空気になってません?
『バーナビー君、行こう?』
「バーナビー!ぼけっとしてっと置いてくぞぉ!」
「………はい」
僕に気付いた虎徹さんと椿さんが、兄と姉に見えたのは…恐らく目の錯覚だ、きっと
太陽のように眩しくて
(でも)
(悪い気がしないのは、何でだろう?)
***
兎視点
一人っ子の兎に、二人は眩しかった
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