#35


状況は完全に俺達の不利…しかしながら、俺が何も手を打ってない訳がない


「済まなんだ、思いの外手間取ってしまっての」
『数打ちゃ当たるってな感じだったんだ。致し方ないさ。それに全部撤去出来たんだろ?』
「有無。有能な若者達が手伝ってくれたからの。何人か欲しい位じゃ」
『…やらねぇよ』


相変わらずだな…本当
まぁアイツらが希望するなら推薦はするけど

って、あ…皆固まってら


『……さて』


この下らない抗争を、早々に終わらせようじゃないか


『どうするんだ?お前には退路はない』
「既にこの会場周辺を警察が包囲させて貰ったぞ」
「なっ!?」
「お主が設置させた爆弾も全て撤去した…最早言い逃れは出来ぬぞ?」
「ひっ!?」


しかしまぁ…皆が戦っている最中、問題の犯人はちゃっかり安全地帯に避難してやがる
強かっーか何っーか、最早言葉すら出ねぇ


『状況は此方の優勢、お前の負けは見えている』
「うるさい!うるさい!うるさいっ!」


人の話を聞けや、コラ
折角穏便に済ませようと、さっきから精神落ち着かせてたのによ。思わず青筋立てちまったぞ


『此れが現実だ、否定しようとも無駄だ』
「こんなの違う!"メシア様"が言ったの!私の望みは叶うってっ!!」


余計な事吹き込みやがってからに…文句を言いたいが、流石に"死人"には言えんな


『"メシア様"を頼った所で無駄だ…ジェイクは既に死んでいる』
「…う、そ…」


コイツが神と崇拝する人物こそ、この街を混乱へと陥れたジェイク本人だったりする


「独眼竜、それマジ?」
『マジ。俺も半信半疑だったが、映像が僅かに残ってた』


映像と言っても、ノイズが酷い監視カメラの拙いもの。だがPC…特に解析関連に長けている奴が、幸運にもウィザードメンバーに所属。ソイツの功績により判明した事実だ

ちとバーナビーには酷だったかもしれんが


「どう、いう…事なんですか?」
『どうもこうもねぇよ。コイツが脱走の常習っつーのは言ったな?ジェイク騒動ん時、病院から抜け出してんだよ。しかも何故か知らんが、ジェイクと接触した』


全く、どんだけの確率だと思う?だが実際ジェイクと接触し、しかも潜在していたネクストを開花しやがった。恐らくジェイドが唆したクチなんだろう


『まぁ、そういう事だ。お前が縋る藁は既に無い、観念するこったな』
「……………」


おー、おー
固まってる固まってる、俺にゃ知ったこっちゃねぇ事だ。てめぇの我を突き通した末路がコレだからな、自業自得ってヤツだな

後はコイツを捕縛しちまえば終わり、と


「あんた、さえ…」
『Ah?』
「あんたさえ…いなければこんな事にはならなかった!私は幸せだったのよっ!この化け物っ!!」


悲鳴に似た叫び声が木霊し、女の言葉に皆が凍り付く
どちらかと言うと、台詞の最後に言われた言葉にだが


『…悪ぃんだが…』


本当、反省っーのを知らない様だな


『俺は"化け物"と罵られるのには慣れている。"前"から言われ続けてきたからなぁ』
「…なっ、…」


女の目が見開く
そりゃそうだ。俺の片目の色が、急に変わったんだからな


「な、によ…それ?」
『ああ、コレか…然程気にする事じゃねぇよ。"名残"だからな』
「な…ごり?やっぱりアンタは化け物よ…そんな、血の色みたいな目をして!」
「そこまでに、してくれるかのぅ?」


刹那
地を這う様な、低い声音が響く

とっつぁんだ
事の流れを黙って見守ってくれていたのだろう


「その娘を侮辱する事、儂が許すと思うたか?」
「ひっ!?」


………えーと
温厚なとっつぁんが、まさか此処までお怒りとは予想外

つか殺気出し過ぎじゃね!?


『とっつぁん!殺気出し過ぎ!』
「しかしの…」
『未成年!未成年いるから!』


全く…とっつぁんと俺は"同類"だ
普通では有り得ない、"経験"と"知識"と"才"を持ち合わせている。其れ故に実力の次元が違い過ぎる、だがそれは同時に畏怖の対象。人という生物は異端を嫌うからな


「アンタ、達…一体何者なのよ…」


女は問う
それは他のヒーロー達も今一番、知りたい事柄だ。後々面倒臭くなるが…まぁ良いか


『我等は…遥か古、日本で戦国時代と呼ばれし時を生き抜きし者也』

『人は我等をこう呼ぶ』


戦国武将、と



(懐かしいのぅ)
(だね)

((戦国武将っ!?))

***
夢主視点
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