#34

『ローズ、ドラゴン、エンブレム、ルナの四人は後方支援に回れ!タイガーとバーナビー、バイソンと折紙はダッグで攻めろ!キースは空からの攻撃と援護の遊撃!それとタイガー!お前ネクスト使うんじゃねぇぞっ!』
「…へーい」


矢継ぎ早に出る指示、これには少々訳がある。どうやら人海戦術できたのか、兎に角数が多い。更に妙な連携を取ったり、動きが早かったりで、イマイチ皆の攻撃が上手くいかねぇ

そんな訳で、皆に俺の指示に従って貰ってるんだが…戦況は正直芳しくない


[ワンアイズの的確な指示が飛ぶ!正に軍師を絵に描いた様な姿だぁ!]


…イキイキしてるな、中継。天職って、あぁいうのを言うんだな。しかし…


『軍師、ね…』


小さく失笑を漏らす
側にいたには聞こえたか、眉を潜めている。ま、仕方ないと言えば仕方ない


『まさか…またそう呼ばれるとは、な。悪い気はしねぇが』


呼ばれ慣れた"言葉"
もう聞く事もないと思っていたから、尚更だ


「ちょ…コイツら、どっから湧いてくるのよっ!?」
「確かにキリがねぇ!」
「ワンアイズ!どうにかならないのっ!?」


犯人の周囲からわらわらと湧いて出る連中に、際限など無い様に錯覚を覚える。しかし可笑しい、こんなレアなネクストには発動条件がある筈。人数制限とかねぇのか?

…嫌な考えが脳裏を過る、いやいやまさか…有り得るな…


『…まさか、暴走?』
「師匠…それは、どういう意味でござる?」


つい呟いた言葉に、皆一斉にこちらを向く。ちょ、怖っ!全員で突然こっち見んな!

おや、珍し。ルナが小首傾げてら…写真撮りたかったっ!じゃねぇわな、本題本題


『コイツ、無意識にネクストが暴走してんだ。恐らく操る人数に制限があったんじゃねぇか?それを感情任せに、こうも大量発生させりゃ…』
「ネクストをコントロールしきれず、暴走…って最悪の状況じゃないですか!?」


こりゃ、不味い
元々理性もへったくれもなかった犯人だったが、まさか暴走してるとはな。俺の言葉でキレたか?仮にそうなら、どんだけ導火線短ぇんだよ…


『……Hum』


暴走の余韻か、"駒"はジワジワと押されていく。既に防戦一方となった俺達に、焦りの色がはっきりと現れている。勿論それは俺達の背後に居る子供達も同様

だが暴走は想定内だ


「何か策はないんですか!?ワンアイズ!」
『ない』
「………は?」
『兎に角"彼等"が到着するまで、何とか持ちこたえてくれ』
「んな事言われたってよ!」


まぁ確かに
今現実に多勢に無勢だ、このままでは子供達の命さえ危ういだろう

避難させるのは容易い
だがそれをすれば、二人を"この場"に居させる意味が無くなる


『………………』


最終防衛ラインを任された俺は、この場を動く事はままならぬ

奴さん達がそのラインを踏み越える、その刹那


「待たせたのぅ!」


会場に響き渡る大声に、皆が動きを止める

その声を追ってみると、会場の入り口付近に大柄の男性が一人。仁王立ちしていた


『派手な登場だね』





(デカッ!?)
(てか誰?味方?)

((……あ、あの方は、まさか!?))


***
夢主視点
助っ人登場、バレバレ(笑)


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