はっきり言おう、今回の件は辻褄が合わない
初めに起きた爆弾予告
一般的に予告状は警察や行政に送るだろう、勿論例外もあるが。今回は民間企業へ送られている、まずここから可笑しい
だがこう考えれば話は別になる。警察や行政へ予告状を送らなかったんじゃない、"送れなかった"と
…恐らくお前は送り先が分からなかったクチだったんだろ
加えてお前が犯人に仕立てた少年、彼から微量の死臭が漂っていた。更に気配が感じなかった、生きてる人間には必ず気配はあるからな
そうそう。お前が居た病院から連絡を貰っててな、脱走の常習だったそうじゃねぇか?脱走している時に"メシア様"とやらに遭遇したんだろ、ある時を境にお前が変貌したっー報告も受けてる
てか大体親権のねぇお前が、銀河引き取って何になる?Ah…親子だから関係ねぇだと?巫山戯るな、お前のしてる事は列記とした犯罪なんだよ
大義名分を幾ら掲げた所で意味は無い、お前は犯罪者だ。自覚していなくてもな
Ha?証拠だと?
犯人に仕立てた少年を"視て"みたら案の定、お前の姿が視えたんでな。不可能?それが出来るんだよ、一応俺もネクストなんでね…サイコメトリっーヤツ
物的証拠が無い訳ないだろ、監視カメラがお前の姿を捉えている。お前に良く似た人物を見たとの証言も上がっている。さて…これ以上言わなくても、分かるよな?
「…………」
圧倒的、だった
言葉の羅列、淀みなく語る声音、その強い意識、全てが
僕は彼女を師と仰ぎ、懇意にして貰っているが…今までこの様な姿を、見た事は一度たりとも無く。ただただ、言葉を無くすだけ
「……………」
彼女は強い
それは充分に知っていたつもりだった、けど僕が見てきた師匠は全てではなかった様で
胸に、痛みが走る
僕は知っていた様で、何も知らなかったんだ
滔々と語り、犯人を追い詰める師匠は、余りにも壮大で…僕は同時に弟子である事を誇りに思う。そういえば…犯人が暫く沈黙している、言葉を失っているのか?何か嫌な予感がしてならない
「そこまで、分かってんの」
「っ!?」
ニタリ、と犯人は笑う
普通に笑うんじゃなく、邪気に満ち溢れたソレに、僕は足が震えた
人間ってこんなにも、歪んだ笑顔を作れるものなのか?
「私はね、他の人なんてどーでもいいの。銀河さえ、私の元へ戻ってくるなら」
『…………』
幸悦した瞳で犯人は、笑みを深める。この人は何を言ってるんだ?自分さえ良ければ、他の人はどうなっても良い?そんな自分勝手が許される筈がない!
「私の愛した人との大切な大切な…それをアンタがっ!」
『自分勝手にも程がある、だから旦那に逃げられんだよ』
「っ!?」
逃げられ、た?
師匠、一体どういう意味なんですか?
『自分勝手な独占欲、気付いてねぇみてぇだな。その強すぎる独占欲にお前の旦那は、大層ストレスを溜めていた様だ…』
「ウソよっ!」
『ストレスを発散出来る事なく溜まった結果、爆発。結局旦那はお前から逃げた』
「違う、違う、違うっ!」
分かる、ような気がする
確かにこの人の思いは強い、強すぎて痛いくらいだ。必死に否定してるけれど…
『違う?警察のお墨付きを貰ってる、俺達ウィザードの情報網をナメるな』
本当に凄い、というより凄すぎる。師匠は一体、どこまで読んでいるんだろうか?ルナティックさんが断言するのも分かるなぁ
だがその時、僕は気付かなかった。犯人から僅かに、ネクストの発動する光が漏れていた事に
『アニエス、第二ステージにランクアップ。作業を進めてくれ』
そして師匠がそれに気付いてて、小さく何かを呟いていた事にも
「アンタ、絶対に赦さない」
『そりゃこっちの台詞だ』
(それを皮切りに)
(彼女の周りに突然現れた、目が虚ろな人達)
(まさかこんな密集した所で、戦うつもりなのかっ!?)
折紙視点
夢主の語りが長くなるので、表現を変えてみました…長い…
折紙の口調が少し違うのは師匠の影響
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モドル