#27

[お集まりの皆様、ご静粛に!只今よりヒーロー達による、記者会見を行います!]


カメラのフラッシュが眩しく焚かれる、だが今回は仕方ねぇ。事件の情報は規制され、メディアに何も流れなかった

だからこそ、皆こぞってスクープを取ろうと血眼になってやがる。分かっちゃいるが、ちったぁ気遣ってやれよ。こっちには小せぇガキも一緒なんだぜ?


[えー…皆様のお気持ちはお察し致しますが、カメラのフラッシュはどうかお控え下さい。小さなゲストが怯えております]


ナイスだ、マリオ
お陰で少しだが場の空気が和んだ…二人の緊張もちっとだが解けたしな


「まず事件の全貌について教えて頂けますか?」
「はい。事件は街全体に爆弾を仕掛けた、と予告があったことから始まりました」


記者の問いにバーナビーが率先して答える、流石に慣れてると違うな。貫禄ってのか?堂々としてやがる


「僕達は爆弾を捜査しつつ、犯人を探していました…が。犯人は有ろう事か人質を盾に取ったのです」
「その人質が、そちらにいるお二人ですか?」
「はい」


報道の視線が二人へと一斉に向く、途端に二人は身体を硬直させちまった

……まぁ無理ねぇよな


「あー…悪ぃな。二人への質問は無しにしてくれや」


二人を庇う様に虎徹が前に進み出る。フェイスカバーを上げたその表情は、どこからどう見ても父親のもんだった


「大人の都合でこんな所に連れ出されちまったんだ、な?頼むよ?」
「……は、はぁ」


普通おかしいと思うよな
だったら何で子供達がいるのか、ってよ。それが今回の狙いなんだが


「犯人はアンチネクスト…ネクスト無効化能力を持ち、僕達は苦戦を強いられました」
「折紙サイクロンは一番最初に狙われましたね?」
「情けない事に、拙者ビルから放り出されたでござる…不覚…」


いやいや、あれは致し方ねぇよ。犯人武術に長けてるなんざ、誰も予想してねぇし


「僕達は犯人に追い詰められた時、サイクロンと共にやってきた彼女に救われました」
「それが独眼竜…ワンアイズ・ドラゴンなんですね!」
「はい。彼女は込み入った都合があり、こちらに参加出来ないのですが…彼女が居なかったら僕達全員、この場にいませんでした」


よし、上手い事運んでる
バーナビーに任せて正解だった、こういう手のものは十八番だろうからな


「タイガーさんは唯一残り、ワンアイズとダッグを組んだとか?その辺のご感想は?」
「アイツは強ぇよ。腕っぷしもそうだが、ココが特にな」


虎徹はそういいながら、自分の胸を叩く。それはこの場にいる、ヒーローの誰もが嫌という程実感している

独眼竜は強ぇ
だがそれ以上に、精神(こころ)が強ぇ。あのブレない強い瞳は、未だに俺の脳裏にこびりついて離れねぇ

今回の記者会見も独眼竜の発案だ。勿論只の会見じゃねぇ


「銀河っ!」


そんな記者会見会場に、甲高い女の声が響く

呼ばれた本人は僅かだが、身体を震えさせていた


「………」
「あぁ、銀河っ!」
「…お、母…さん…」


涙ぐむ女は記者達を掻き分けながら、少年へと向かってくる。だがその少年の表情は恐怖の色に充ちてた…つい俺はマスク越しに眉を潜める

少年に気を取られ、俺は気付かなかった。虎徹が女に向かい、鋭く睨んでいる事を


「さぁ、帰りましょう?」



(ど、どうなってるの?)
((この女がっ!))
((虎徹、さん?))


***
牛視点
夢主がいないっ!


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モドル

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