#26

さて状況は変わった
犯人を捕縛するだけでなく、その背後で暗躍する黒幕も捕まえなければならない

まずはこの、操り人形と化した青年を救ってやらなければ…だが虎徹のネクストも残り僅か


『時間が惜しい。早々にケリをつけよう』
「ってもよ…止めるったって方法がねぇだろ?」
『……いや』


方法ならある
だがその方法はかなり荒っぽく、俺にも負担がデカい。成功しちまえば良いだけなのだが、その成功率も低い

が。そうこう言ってる場合じゃねぇ、虎徹の説教とぶっ倒れる覚悟でやるしかねぇか…


『タイガー。少し時間稼ぎしてくれ、何とかする』
「………まさかまぁた無茶すんのかよ?つか俺にも教えやがれ」


時間が押してるっーのに!
仕方なく俺は虎徹の耳元に口を寄せ、内容を語る。見る間に虎徹の目が見開かれた

…そこまで驚くか?驚くか


「上手く、いくのかソレ?」
『成功率は低い。他にこの状況を打破出来る方法、思い付くのか?』
「っ…分かった!協力するがな、無理はすんなよ?」
『…あぁ』


悪ぃな、虎徹
無理は俺の十八番なんだわ

でも…ありがと。心配してくれて


「行くぜっ!」


虎徹のネクストが残り一分を切った、この僅かな時間にケリを付けねぇと

未だ理性を失っている犯人へと、虎徹は殴りかかる。その後ろで、俺は愛刀を空へ放りなげた


『六爪解禁 八咫烏』


俺の刀は一振りで二振り分の重量がある。だがそれを補って余る程に、特質している事


『竜の爪、解禁だ』


一振りの刀が、六振りの刀に分かれる特殊な仕込み刀。これが八咫烏の、本当の姿

八咫烏へ一気に雷を集中させる。閃光が周囲に舞い散り、空気が震え、轟音が鳴り響く


『虎徹っ!』
「おうっ!」


事前に見せたのが幸いか
虎徹は慌てる事はなかった…まぁ後で問い質されるのは確実だな


『HELL DRAGON Burst Mode!』


六本の刀から放たれるは青白い雷の竜。複数の竜は勢い良く青年へと向かい、外す事なく命中


「…すげ…」


叫声を上げながら、青年は地に伏せる。威力は極力落とした、命までは取ってねぇ筈だ


「死んで、ねぇよな?」
『加減はした』


この技を使い、雷を当てた本当の理由…彼を"ネクストの束縛から解き放つ為"

こんな芸当が出来るのは、ネクストしかねぇ。だが操られてたままでは、どうにもならん。つか"俺のネクスト"が使えねぇよ


『さて、と』
「こっからどうすんだ?」
『情報を引き出す』
「…どうやって?」


何言わぬ青年から情報を引き出すなど、愚の骨頂…と思ったのか。虎徹は訝しげに表情を歪めた


『まぁ見てろ』


俺の身体から青白い光が放たれる。それは虎徹や誰もが見慣れた光


「…持ってた、のか…ネクスト?」
『ネクスト持ってねぇって言ったか?』
「言って、ねぇな」


そらそうだ、言ってねぇし


『俺のは戦闘向きじゃねぇ。しかも使い方によっちゃ、えれぇ騒ぎになんだ』
「…で?その能力は?」
『サイコメトリ』
「………あぁ」


俺の能力は、ただのサイコメトリと訳が違う。触れたモノ全ての記憶という記憶を読み取ってしまう

再度言おう、全ての記憶という記憶を読み取る。それはヒトに限らず、モノやヒト以外のイキモノでも…だ


『コントロール出来るまで厄介だったよ。全て読み取っちまうから、よく頭がパンクして倒れてた』
「…だろうな」


制御出来てから、勝手に能力が記憶を読み取る事は無くなり。力を行使する際も必要以上の記憶のみ、読み取れる様になった

修行、生半端じゃなかったけどなぁ…


『…………』
「どったの?」


そういう、事…か


『虎徹。黒幕引き摺り出すにゃ、どうやら他の連中の協力を仰ぐ必要があるみてぇ』



(アニエスさんにも一枚噛んで頂こうか)
(つかHEROTVで流れんだろ、今の映像)
(情報規制かけてるから、流れてねぇ。まぁHEROTVには小出しに情報流して、報道して貰ってるけど)
(…いつの間に)

***
夢主視点
ここまで書けばお分かりの方は分かるでしょう(笑)

椿/転生した繁桜夢主
婆娑羅は使用可能だが、雷のみ。ネクストはサイコメトリだが殆ど全く使わない


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