#24

椿の特技には吃驚したわ

まぁアレが特技と言えるかどうかは分からんが…言えない事情でもあんだろ。俺からは何も聞くつもりはねぇ、すっげぇ興味津々だけどな


『行くよ、タイガー』
「おう!」


椿の青白い"雷"
これは俺の予想だが、多分ドラゴンキッドより威力高ぇんじゃねぇか?そういやヒーロー名もカブってるしな…って椿は別にヒーローじゃねぇか

"雷"を受けた影響か、犯人の動きは今までより格段に遅くなっている。これなら!


「グアァァッ!」
「いっ!?」
『Ha!?』


犯人を取り押さえようとしたその瞬間、犯人の動きがまた変わった。いや違ぇ、変わったと言うより…自棄を起こしたと言った方があってる


「っぶねぇ…無事か?」
『あ、う、ん…』


突然の変貌
取り押さえようとした俺達に攻撃するかと思いきや、攻撃するアクションさえ見せねぇ

つか危なく椿が怪我する所だったじゃねぇか!しかも顔だぜ、顔!ギリギリで間に合ったから良いもののっ!


『……ね、下ろして…』
「あ、悪ぃ…」


そういや椿をだき抱えたままだったな…世間で言う姫抱っこに、椿は照れてるのか。頬をうっすら赤く染めちゃってまぁ、いつもとのギャップがまた可愛いねぇ

……って違ぁぁうぅ!今こんな事考えてる場合じゃねぇっつの!…俺って馬鹿?


『ん、ありがと』
「良いって事よ」


犯人は異様に目を血走らせて、殺気立ってやがる…コイツもう人間、棄てたんじゃね?


『……そうか』
「どうした?」


自棄を起こした犯人は、俺達を襲う訳でもなく。ただただ暴れるだけ、理性もへったくれもねぇ

そんな犯人を見て、椿は何かに気付いた様に目を見開く


『今までコイツには、何か違和感を感じてた』
「お前もか。俺もだ」


椿も感じてた"違和感"
何かが違う、今までの経験が俺に訴えかけていた。椿は眉を潜め、まるで苦虫を噛み砕いたかの様な険しい表情を浮かべる


『コイツから気配を感じていなかった…』
「気配?」
『ああ。俺は今までコイツが自ら、気配を断っているものかとばかり思っていた…だが違った!』
「……違う?何がだ」


嫌な予感がしてならねぇ
椿の口から出た言葉は、俺の想像を越えた…えげつねぇものだった


『元々気配なんて無かったんだ。コイツは、死人…死んでるんだ、最初からっ!』
「っ!?」



(なんかの、冗談だろ?)
(んなの俺だって言いてぇ…)


***
虎視点
自然と姫抱っこする虎に、年甲斐もなくトキめく夢主(笑)


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モドル

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