#23

虎徹のネクストを回復させ、俺達は犯人と対峙する

しかし先程から違和感を感じる…何か、何処か"可笑しい"


「どうした?」
『いや…何でもねぇ』


犯人はトチ狂ったかの様に甲高い哄笑を上げ、歪んだ瞳で俺達を睨み付ける

オイオイ、ヤバいもんに手ぇ付けたんじゃねぇか?この状態は普通じゃねぇぞ…


「ギヒヒッ…」
『最早人語も話さんか…』
「…オイオイ、奴さん大丈夫か?」
『奇遇だな。俺も今、同じ事考えてたよ』


俺達へ襲い掛かってくる犯人だが、最早その動きは"ヒト"のものではなく"獣"に近い

その光景に、昔日の記憶が脳裏を過る。いやいや…ソレはねぇだろ流石に


「何だってんだ、コイツ!」
『Ah-.どうすっかな…』
「呑気だな、オイ!」


慌てたって録な事はねぇ
だが犯人の不可解な行動に疑念が沸く、何故こうなった?いやそもそも、どうして事件を起こした?


『タイガーは俺のサポートに回れ。下手にネクスト使って攻撃しても、無効化されちまったら意味ねぇ』
「…無茶、すんなよ?」


援護の不満はないのか
てかお前の突っ込み所はソコか。何か違くね?…まぁいい


『無茶したらお前の説教と、愛息子と愛娘の号泣が待ってんだろ?そんなの勘弁被る』
「分かってんじゃねぇか」


ゆっくりと、腰に差していた愛刀を抜く。背中合わせに虎徹が拳を構える


『さぁpartyの始まりだ、派手に行こうか』
「ワイルドに吠えるぜ!」


お決まりの台詞が、戦いの幕開けになった

ネクスト無効化に対し、俺達が取った戦法は至極簡易。まず虎徹が犯人へ向かう、ただし直接攻撃はしない。何故なら犯人のネクストが、完全に虎徹に対して対象外か判明していないからだ

その為犯人への直接攻撃は、必然的に武器攻撃が出来る俺のみとなる。虎徹は俺が犯人へ攻撃する際の目眩まし、と言う訳。勿論ネクストが効果有りと判明すれば、彼も攻撃に参加するが


「っ!コイツ、見掛けによらず、すばしっこいな!」
『確かに…』


既に人間の動きを逸脱している犯人の速さは、普通ではない。寧ろこの速さは、犯人の身体が持たないのでは?


『……タイガー、行くよ』
「おう」


再び俺達は犯人へと向かう、今回は二人同時にだ。虎徹が拳で犯人の動きを遮り、彼の背後から気配を消して俺が斬りかかる


「……ギヒッ」
『っ!』


だがその刃が、犯人を捉える事は無く。斬撃は廃ビルの壁を切り刻むだけだった

何か手立てを講じないと、このままでは埒が明かん。この人間離れした速ささえ、どうにか出来れば……やって、みるか?


「お、おいっ!?独眼竜!?」


虎徹の制止を振り切り、俺は一人犯人へと駆けて行く

刀に僅かだが光が帯びる


『ふっ!』


素早く犯人の懐に飛び込み、刀を振るう。だが切っ先が犯人の腕を掠る程度…否、掠りさえすれば良い


「ギッ…」


その直後、犯人の言動に変化が起きた。俺の攻撃を受けてから、ピタリと動かなくなったのだ

これには虎徹も首を傾げる


「こりゃ一体…」
『見てれば分かる』


犯人の身体から、少しずつ青白い光が放たれる。だがネクスト使用時の光ではない、まるで…


「雷…?」


光は雷の様にパチリパチリと鳴り、次第にそれは大きくなり…犯人の身体を打ち付けるかの様な雷が鳴り響いた


「っ!」


舐めて貰っては困る、伊達に独眼竜は名乗っていない


『素早いなら、その速さを殺すだけ』


竜の雷、篤と味わえ


「……アレ、ネクスト?」
『いや、ネクストじゃねぇ』


ネクストだったら今頃、無効化されてるだろ


「…すげぇ!すげぇよ!」
『ち、ちょっ!?タイガー!?』


虎徹!アンタ何、人を持ち上げちゃってんの!?しかも自分の肩に腰掛けさせて!…あ、なんか座り心地良い


「犯人追い詰めるぜ!」
『当然』



(しかし今の雷、キレーだったなぁ)
((馬鹿虎徹))

***
夢主視点
戦闘シーンは難しい…ラストで前回に繋がります


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