虎徹との同居生活が始まって暫く経つ
虎徹に懐いていた為か、銀河も何の問題無く今の生活に馴染んだ
…銀河。お母さんはお前の将来、不安になってきたぞ?
まぁそれは置いて
「あり?椿、銀河は?」
『バーナビーと出掛けた。何か約束してたらしいぞ?』
「あ、そなの」
時間が経過すればする程、虎徹の新しい一面が出てくるので不思議だ
『あ、虎徹。今日暇?』
「召集掛からなきゃな」
テーブルに並ぶ朝食に、虎徹は目を輝かせる。私の料理は安寿さんの味に近いらしい
『んじゃ出掛けるぞ』
「なんでまた?」
『冷蔵庫カラ』
「…さよで」
食卓に並ぶのは和食
虎徹が和食好きっーのもあるが、私や銀河も好むからだ。まぁマヨネーズが常備されてんのは、ウチだけだと思うが
ったく…どんだけマヨ好きなんだ?
「銀河には?」
『抜かり無し。今洗濯機回してっから、干し終わった後に出掛ける。支度しとけよ?』
「了解」
私も支度しておかんと
虎徹は意外とファッションに長けてる、楓ちゃんが理由だろうが。服のセンスに関しては、恐らく私よりあるだろう
ちょいと悔しい
**
椿と銀河が俺ん家に住み始めて、結構経った
俺の心配の種だった銀河は、俺と住む事に反対どころがどっこい大喜びで大賛成…杞憂で済んだのは良いが、オジサン少し複雑
『虎徹ー!支度出来たか?』
「おう、今行く!」
二人には感謝してる
帰れば暖かい出迎えの言葉が返ってくる、家ん中は賑やかだし、飯は一人で食う事ねぇから楽しいし
今までの侘しい生活が、まるでウソみてぇだ
「うし。じゃあ行くか、何買うんだ?」
車に乗り込み、ハンドルを握る。椿達が来てから車に乗る回数が増えたのも、今までと違う点の一つ
『当座の食料と消耗品、あと銀河の服』
「あー…最近身長伸びてっからなぁ、銀河」
たかが10歳と侮るなかれ
子供はいつの間にか成長しちまうのを、肌でヒシヒシと感じる。銀河が側にいるから尚更だ
『そろそろ成長期だから仕方ねぇよ。消耗品買って、銀河の服見繕って…んで最後に食料品かな』
「あいよ」
いつもだったら銀河のはしゃぐ声が飛ぶが、今日は珍しく俺と椿の二人きり
白を基調とした柔らかい雰囲気の服装を見て、正直俺は見惚れた
母親だからか椿はパンツ姿が多い、だが珍しく今日はロングスカート。全く…これで服のセンスがねぇとか言ってんだぜ?それよか本人、自分の外見の良さに気ぃ付いてねぇみてぇだし…
『虎徹?』
「あ、いや…なんでもねぇ」
銀河にゃ悪ぃが、デートと洒落込みますかね?隣にこんな別嬪さんが居るのに、エスコートも無しじゃ男が廃るってもんだ
うし、到着
直ぐ様車から降りた俺は、助手席のドアを開けて手を差し出す
「お手をどうぞ、レディ」
『……』
かっわいー!
頬を赤く染めながら、そろっと俺の手を取るトコなんて!いつもの椿とは思えねぇよ
『虎徹、アンタ自分の色気に気付け』
「色気ぇ?こぉんなオジサンにある訳ないだろ」
そう言うと椿は、呆れた様に小さくため息を漏らす。なんだ一体?
まぁ良いか。たまにはこんな日もあって
英雄の休日
(バーナビー兄ちゃん、これなんかどう?)
(良いですね。虎徹さん喜びますよ)
(えへへ………あれ?虎徹おじさん?)
(え?…隣にいる美人な女性はどなたでしょう…)
(…あれ、お母さんだ)
(へぇ、椿さん…えっ!?)
((カップルにしか見えない…))
***
夢主→虎視点
番外編、同棲後の夢主と虎の一コマ
銀河と兎は虎への贈り物を買っていました(苦笑)
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モドル