#20

事態は最悪な方向へと転ぶ
犯人は意外にも武芸に秀でていた様で、ネクストが効かないと分かった途端にソレを遺憾無く発揮した

そして…犯人の腕には、銀河の姿が


「全員、動くな」


最悪だ
犯人だけならボコボコにして締め上げるだけだが、銀河が捕まっちまうとなれば話は別

どうにか犯人から銀河を救い出さねぇと…だがどうする?ルナは肩をヤられ、他のヒーロー達もネクストを無効化される。唯一無効化されないであろう攻撃系ネクストの四人…バーナビーは楓ちゃんを守るので手一杯、ロックバイソンは機動力の問題で却下、折紙は怪我が完治してねぇから論外。残りは…


『(虎徹、だが…)』


機動力には問題ねぇ、体力も申し分無い。だが問題はネクスト、虎徹のハンドレットパワーは使用可能なのか?


『っ』


不意に虎徹と目が合う
どうやら考えている事は同じらしく、弧を描く様に目を細める

…心配無用、ってか


「いい気味だなぁ」


犯人の目線が外れた、今だ!


『タイガー!』
「おうよっ!」


刹那、虎徹が淡い青色の光を放つ。と同時に、犯人へと勢い良く突進して行く

銀河を拘束していた犯人の腕を、虎徹は素早く捻り上げた


「テメッ!こんな事して…」
『ナイス、タイガー』


犯人は虎徹に意識がいき、私の存在を失念していたのだろう。まぁそれが狙いだが

虎徹の行動と共に素早く駆け出した俺は、二人の間に出来た僅かな隙間へと入り込む。そしてもう片方の腕を凪ぎ払い、腕に銀河を納める事に成功した


『…ふぅ』
「上手く行ったな!」
『応。タイガー、良く合わせてくれたな』
「何となく、な」


何となく…って…
一歩間違えれば危ねぇトコだったっーのに、この男は全く


『銀河、怖い思いさせてゴメンな?』
「良く頑張ったな、銀河」
「っ…」


泣き叫びたいだろうに、堪えてやがる。ここに他の連中がいるからか、楓ちゃんの前だからか

どちらにしろ、ホントに悪い事しちまったな


『…銀河。お前は楓と一緒に逃げな』
「…お前はどうすんだ?」


最もな虎徹からの問いに、つい失笑が漏れる


『俺は無効化対象外だ、アイツの相手にゃもってこいだろ?俺にゃ得物もあるしな』
「なら!」
『お前ネクストもう使えねぇじゃん』
「ぐっ…」


一分、然れど一分
俺は…お前にも傷付いて欲しくねぇんだよ、虎徹


「…バーナビー!楓と銀河連れて先に行けっ!」
「ですがっ!?」
『オイコラ。人の話、聞いてたか?』
「聞いてたさ。だから残るんだろ、バカ」
『はぁ?』


何寝惚けた事を!
だが俺はそれから言葉が続かなかった…虎徹の、真剣で悲しみを帯びた瞳を見たら


「お前に何かあったら、銀河が悲しむだろう。一人で背負子むな、ちったぁ分けろ」
『………分かったよ』


こうなった虎徹は、頑なだ
…仕方ないか。一人でケリをつける予定だったんだがなぁ


『んじゃま、鬼退治と洒落こむか』
「おうよ」


ちぐはぐダック、ここに結成


竜虎、共闘

(そういや何て呼べば良いんだ?)
(Ah-.独眼竜、にしとくか。そう呼ばれた時期があったからな)
((時期?))


***
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