#18.5

HeroTVから流れるアナウンス
どうやら折紙サイクロンは初っぱなからヤられたらしい…そして不可解な事は


『何故ネクストを使わないのか、だ』
「私もそれは気になっていた。彼等ならば、犯人一人の捕縛に時間が掛かる筈がない」


ならば何故?
思い当たる節はただ一つ


『アンチネクスト』
「その可能性は充分考えられる。これだけネクストがいるのだ、無効能力者がいてもおかしくない」


しかし仮に犯人がアンチネクストとして、折紙を最初に目をつけた理由が分からない

まさか…いや、可能性としては有りだ。能力が高ければ高い程、リスクはデカイ


『物理的なネクストは無効対象外…か』
「成る程。ヒーロー達は物理系統、具現化系統、特殊系統に分類される。確か折紙サイクロンが…」
『特殊系統。ただ犯人は折紙の武器攻撃を危惧したんじゃねぇか?』
「うむ、だが他の物理系統ヒーローはどう説明する?」
『恐らくその為の人質だ…タイガーとバーナビーなら、人質を放っておかないし』


あの二人ならきっとそうするだろう…それに漬け込んだ戦略か、あの犯人が考えたにしちゃ手が込んでねぇ?


『バイソンもソレに当てはまる。いざとなれば、誰か一人折紙と同じ方法でステージアウトさせれば良いだけだ』


折紙は犯人に廃ビルから放り出された…多少怪我はしているものの、大事に至らないらしい


『………仕方、ない』
「椿?」


先輩を余所に私は、ある人物を呼び出した


『やぁ久方ぶりだな』
[し、師匠っ!?]
『…その呼び方も変わらないな、イワン』


画面越しに会話するのは他でもない、折紙サイクロンことイワン・カレリンだ。所々に巻かれている包帯が痛々しいのは、見なかった事にして


『事情は粗方知っている。単刀直入に聞くぞ、犯人はネクストを無効化したな?』
[…師匠の仰る通りです]
『矢張、か。ならばイワン、お前の怪我の塩梅はどうなんだ?』
[多少深い傷はあるものの、支障はないです]
『ふむ』


イワンは戦線復帰可能か
この事態を引っくり返すにゃまだ何か足らない

……そうだ、アイツがいたよ


『イワン、仲間を救出しに行く。支度を済ませておけ、俺も参戦する』
[し、師匠っ!?ですが!]
『息子と将来の婿さんと娘が窮地って時に、放っておけるか』
[…………承知]


少々不満げではあったが、イワンの説得には成功。後は…って


『先輩?』


何やら先輩が奥から持ち出してきた、つかアレ衣装箱?


「こうなる事は何となく予想していたからね」
『は?』
「僕から君に、ささやかな餞別だ」


そう言いながら先輩は、衣装箱の蓋を開けた

………先輩。アンタ本当に仕事してんですか?


『先輩…これ…』
「君をイメージして造った特別なスーツだ。勿論耐久性その他諸々全て、タイガー達のスーツと数値は変わらない」
『いやいや。そうじゃねぇ!どんなイメージしたんだアンタァ!』


衣装箱に入ってるスーツに、俺は度肝を抜かれた。そりゃそうだ、このデザイン"戦国武将"の様なのだから


「何となく、こんな感じが浮かんでね。何だったかな?えー…そうそう、独眼竜だったか?ソレをイメージしてみた」
『独眼竜、ねぇ』


まぁ、あながち無関係ではないんだが…この際それを利用しておくか


『先輩。コレ、使わせて頂きますね』
「あぁ…銀河君を助けに行ってあげなさい」
『はい』


銀河、今お母さんが行くからな。怖いと思うがもう少しだけ、待っててくれ

ふと先輩は、急に思い付いた様に口を開いた


「そういえば、椿はサイクロンと知り合いだったのだね」
『あー…日本の事知りたいとかで、教えてたらいつの間にか師匠とか呼ばれる様になりましたわ』


アイツ態々俺の所まて通ったんだぜ?凄ぇ根性だよなぁ…


「……納得だ」



(あ、ルナ?俺だけど、銀河助けたいから手伝ってくんね?)
(何故?)
(手伝ってくれたら、後でタイマンでバトってやるけど?)
(…………仕方ない)
((チョロいな))


***
夢主視点
イワンは夢主に憧れて、ユーリは夢主の実力を計りたい


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