#16.5

再びこの街に来て数ヶ月
銀河のネクストは、未だ完全な覚醒を見せず。また実母からの接触、アクションは無い


『杞憂で済めば良いが』


銀河を引き取った際、確かに法的措置の元であったのだが…実母は質が悪かった


『今晩わ』
「……椿ちゃんかい?戻ってたのか?」
『ええ、色々ありまして』


虎徹の事だ、恐らく二人で外食している筈。そう踏んだ私は仕事帰りに、とあるバーへ立ち寄った

ここは昔から常連として通っていた、マスターとも懇意にさせて貰っている


「いやはや。戻ってきたなら連絡しておくれよ」
『ゴメンゴメン。少しバタついてて』


マスターから差し出されたアルコールに、喉を潤す。彼は銀河を引き取った事を知っている、度数の高いものを出さないだろう


「で。今日はどうしたんだい?」
『マスター。"ウィザード"、まだ活動してんだろ?』
「流石椿ちゃんだ、いつ分かったんだい?」
『近くに来て何となく。雰囲気が変わってないしさ』


"ウィザード"
知る人ぞ知る、裏世界の"何でも屋"の事を指す。だがそのメンバーは札付きの元不良達だとは、殆ど知られていない


「察しの通り、さ」
『ったく…解散しろったのに…』
「"あの子達"には無理な話だね、それは。漸く生き甲斐を見つけたのだから」


ウィザードに席を置いている者達は皆、云わば社会のはみ出された者達


「それは椿ちゃんが一番良く分かっているだろう、ねぇ?ウィザード創始者さん?」
『…まぁね』


彼らに居場所と仕事を与えたのは他でも無い、私だ。だからこそ解散しなかった理由も分かるのだが


「ご無沙汰してます、姐さん」
『やあ、シュー。息災そうで何より、今のウィザードの指揮はお前が?』
「僭越ながら」


シュー
私の元右腕だったこの男も、昔は荒れていた。今はそんなのを感じさせない位、冷静な男に成長してくれたよ


『全くお前達ときたら』
「姐さん…」
『まぁ良い。お前達が後悔していないなら、な』
「変わりませんね」
『変わる訳ないだろ』


昔話はまた後にして
今日の本題に取り掛かりますかね


『シュー。以前頼んでいた情報収集はどうだ?』
「あの一件、ですね」
『…………』


無言で頷き、先を促す
俺がウィザード関連から手を引いたのは、銀河を引き取ったからだ。勿論所属する者全員に理由を説明し、納得を得た上でだが

そして彼等の中で最も情報に長けていたヒューに、"とある事"を頼んでいた

それは"銀河の実母の行動を監視し、報告する"事である


「あれからこれといった、目立った行動はありません。監視は引き続き続行しています」
『そうか…』


物騒な言葉だが、そこまでしとかないと最悪な事態を引き起こしかねない。銀河の実母はその位質が悪い、それを踏まえた上で銀河を引き取ったんだがな


『監視は続行。何らかの不振な行動、またはアクションを起こした場合は即連絡。一般市民に影響が出ると判断したならば、第一級警戒体制を取れ』
「了解」
『……杞憂で、済んでくれ』



(いやぁ、昔が懐かしいねぇ)
(マスター。コイツらが暴走しない様に見張ってて)
(大丈夫。今までそうして来たから)
(流石マスター)


***
夢主視点
#16の裏話、夢主は色々やってたり


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