#10.5

椿先生、最近変
ため息を沢山ついたり、お話を聞いてなかったり…お家でもそうだって、銀ちゃんも言ってた

先生がこうなったの、確か…お父さんが帰ってから…?


「お父さん、まさか先生に何かしたのっ!?」


デリカシーのないお父さんの事だもん、あり得るっ!私は授業が終わると、銀ちゃんと一緒に先生のいる保健室へ向かった


『…どうした?んな血相変えて?』


保健室についた私達を先生は目をパチパチしながら、むかえてくれた。周りにだれもいない時、先生は私達にいつも通りにお話してくれる。ちょっと皆より優越感

じゃなくて!


「先生、お父さんと何かあったの?」
『虎徹と?ある訳ないだろ』


あれ?先生…お父さんの事、いつの間に呼び捨てにしてたの?
ふしぎに思ってたら、銀ちゃんが小声で教えてくれた


「虎徹おじさんが帰る少し前から、お母さん呼び捨てにしてたよ。虎徹おじさんもお母さんの事、呼び捨てで呼んでた」
「そうなんだ…」


ちょっとビックリ
私が気付かないうちに、そんなに仲良くなってたんだ

あ、でも分かる気がする。お父さんと先生って、どこか似てる感じがするし


『本当にどうした?』
「ねぇお母さん。本当に虎徹おじさんと、なんにもなかったの?」


今度は銀ちゃんが先生が聞いてみた。けど多分、答えは同じ


『しつけぇな…何もなかったっーの』
「だってお母さん、最近変だもん」
『…………』


銀ちゃんの言葉に先生はほんの少し、目を細くした

銀ちゃんは時々、大人に負けないくらいの事を話す。それは先生の影響かもしれない


「お母さん」
『なにもないよ。大丈夫』


困ったような、先生の顔に見覚えがある。そうだ、お父さんもこんな顔をしてた…


「っ!……分かった」


先生の言葉を聞いた銀ちゃんは、私を連れて保健室を出た


「銀ちゃん!待って!」
「…………」


無言で進んでいく銀ちゃんが少し怖い。しばらく歩くと銀ちゃんは立ち止まって、私へ振り向いた


「………ゴメン、楓ちゃん」
「ううん…ね、なにがあったのか教えて?」


泣きそうな銀ちゃんに、優しく優しく話しかける。こんな銀ちゃんは見たくない


「お母さん、ウソついてる」
「え?」
「お母さんが困ってる顔で、"大丈夫"って言ってる時は大体嘘ついてるんだ。前にもあった」


先生が私達にウソ?
じゃ、お父さんと本当に何かあったの?


「でもお母さんは、僕に弱音を言わないから…多分今回も言わないよ」
「そんな…」
「僕達にできるのは、お母さんが元にもどれるように明るくいる事。心配かけない事」


銀ちゃん、先生の事すっごく心配してるはずなのに…無理に笑ってる


「銀ちゃん、先生が元にもどれるまで頑張ろ!私も銀ちゃんに協力するから!」
「ありがと、楓ちゃん」


本当にお父さん、何をしたんだろう?今度トッちめてやるんだから!

その時、私達は知らなかった
これから先生と銀ちゃんに起きる事を、そして私は後で後悔する。無力な自分を


鉄は熱いうちに打て

(何、今の音?)
(向こうだ!)


***
楓視点
虎徹が帰った後、急展開の予感


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モドル

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