――拝啓、母さん
季節の変わり目で体調崩してない?僕は元気だよ
「どーすっかな?」
定期的に送っている母への手紙の内容に、僕はつい眉を八の字みたく下げる
最近ハーマイオニーと言う親友が増えたのは良いが、それまでの経緯を書く事を躊躇う
…トロールを撃退した事を流石に書いたら、母さん倒れるわな
「Mr.クレハ。一体何をしている?」
「あ…スネイプ教授」
そうそう
あの時親切にして貰った男性が、まさかホグワーツの教授だったとは…世間は狭い
初めての魔法薬学の授業を受けた時、めちゃくちゃ驚いた
「母への手紙の内容に迷ってます…流石にトロールの一件は書けないなぁと」
「…心配なさって、卒倒するのが目に見える。止めた方が無難だと、我輩は思うが?」
「教授もそう思いますよね」
何故か教授は、僕に対して口数が多い。他のグリフィンドール生徒に比べて圧倒的に
「しかし何故、中庭で書いておるのだ?」
「なんとなく、です」
「…そうか」
…多分僕が、母子家庭で育った事を知ってるからだと思う
同情かもしれない
けど僕は、教授と会話する事が嫌いじゃなかった。だって本当は優しい人だから
「空が曇り始めておる、適当な所で切り上げなさい」
「はい、教授!」
その瞳は
(上手くやってるみたいだね…良かった)
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モドル