――イギリス郊外
街並み外れたこの土地は、自然豊かな所で。不便ではあるが、それでも多少の域
私達母子が暮らすには、丁度良い環境だ
息子のサクヤも、今年12を迎える。母子家庭だがあの子は健やかに、優しい子に育ってくれた。父親について触れないのは、恐らくあの子の優しさからだろう
「母さん!」
『ん?』
そんな息子が、慌ただしくキッチンに駆け込んで来た。手元には一通の封筒を持って
「ま、ま…魔法学校から手紙が来た!僕、魔法使いなんだって!」
『おや。なら行っておいで』
慌てた表情が一変、目を瞬かせる。まぁ普通の親だったら言わない台詞だろうが、私にはそんな世間など知った事か
「……反対、しないの?」
『人生日々経験なりってね。色んな事を知る事は良い事だよ、行ってきなさい』
「……うんっ!」
満面の笑みを浮かべ、サクヤは浮き足立ちながら自室へ向かう
その後ろ姿は、父親を彷彿とさせた
『これも、運命(さだめ)か』
始まりの鐘が鳴る
(君もそう思うだろ、親友?)
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