――にいさま!
――…分かってくれ。お前の身体を治すには、これしか方法が無いんだ
――いや!にいさまとはなれたくない!
――大丈夫…きっと、迎えに行くよ
――…おてがみ、くれる?
――勿論さ。僕の可愛い姫君
ある所に仲の良い兄妹がいました
けれども、妹は生まれながら身体が弱く。更に彼等には頼る親が居なく
孤児院で細々と過ごしていた彼等に、妹の身体が治る可能性があると吉報が届きました
しかし妹の身体を治せる土地は遥か彼方にあり、二人で行く事は困難を極めました。兄は悩みに悩み、妹だけを送り出す事にしました。それは苦渋の決断でした
「…どうか、幸せに」
妹の幸せを祈っていた兄の姿は、何時しか孤児院から消え
二人の存在を知る者は、一人として居なくなった
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