『はぁ?クダリが?』
「…そうなのでございます」
――…プラズマ団襲来から、数日後
漸く通常運行に戻った、ギアステーション…だったのだが
突然整備士長室に、ノボリが駆け込んで来た
……そうそう。ノボリと言えば、偽彼女の一件。面倒臭いからそのままにしてある
どうもノボリもそうしてるらしい…人を虫除けに使いやがって…って違う!
落ち着かせて理由を聞いてみたら…クダリが酷い風邪を拗らせちまったらしい
まぁサブウェイマスターも人間だからな、風邪くらいは引くだろうが…
俺はコイツらの健康管理が、イマイチ不安になってきたぞ
「今日に限って多くの挑戦者の方々が挑戦され、私だけでは捌ききれず…」
『んで俺か』
「整備士長のサータに頼むのはお門違いと、重々承知しております。ですがどうかお願い下さいまし!」
プラズマ団との戦いで、俺の腕前が公表されてっからか。切羽詰まっとるなー
しかし問題がある
『ん、やっても良いが…俺はダブルバトル苦手なんだよ』
「そ、うなのですか?」
いや、出来ない事もない
ただダブルよか、どっちかっーとシングルが得意なんだよ
12までカントーにいたからか…いや、恐らく俺の性格だろう。これはノボリに伏せておくか
『………よし。ならこうすっか!』
■■■
「ノボリさん、じゃない?」
シングルトレイン21両目に辿り着いた挑戦者は、目を皿の様に見開く。当然だ、本来ならばノボリがいる筈なのだ
『大変申し訳ありません、お客様。本日クダリが病欠でして、ノボリがダブルへと参っております』
「クダリさんがっ!?」
ダブルの苦手な俺がシングルに回り、ノボリがダブルへ。これが俺が出した案
『ノボリの代役として、私がお客様と全力で戦わせて頂きます』
「…はい!宜しくお願いします!」
挑戦者は戸惑ったものの、直ぐにやる気を取り戻してくれた。助かった…常連客で。文句を言われたら、どーすりゃいいか…
『では私、不肖ながらサブウェイマスター代理サータが参ります。目指すは勝利、ルールを守ってポケモンバトルを楽しみましょう』
因みに台詞はノボリとクダリを真似てみた。ボールを取り出し、笑みを深める
『では、出発進行』
■■■
「お疲れ様でした」
『お疲れー』
バトル終了後、ダブルを終えたノボリが出迎えてくれた
……ノボリ、にやけんな
「中々、様になっていましたよ?」
『やめれ。つかこの衣装どした?』
俺が今着ているのは、ノボリ達と同じサブウェイマスターのコート…色は淡いグレイだが
するとノボリは視線を逸らす
「……駅長が……」
『…あのじいさん、何者だよ…』
幻のマスター
(所で、あの口調はもしや…)
(ん、何となく真似た)
(やはり…)
11.11.09.書き下ろし
mae tugi
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