「お早うさん。朝っぱらからお熱いこった」
『…クリード、さん?』
「んな、怒るなよ…」
ノボリとの偽造恋人を開始した翌日から、俺達は共に出社する様になった。勿論時間が合えばだが
ぎこちないのは、まぁ…仕方ない…と言う事で。だってノボリだし
「来てるぜ」
不意に囁かれたクリードの言葉に、俺達は周囲を見渡す
すると俺達の少し後ろに、恨めしそうな表情を浮かばせる女性の姿が
『…………うわ、引く…良く耐えられましたね…』
「正直…私、限界でございました…」
こっそりとノボリは深い溜め息を漏らす…そりゃ俺が抜擢される訳だわ
俺でもコレは辛い…
「当然だ。周囲の事もノボリの都合も考えねぇで、テメェの思いだけ押し付けんだからな」
こりゃかーなり手強そうだ
本腰を入れた方が良いかも知れんな……ならば…
『あ、の…ノボリさん…』
「はい?」
声色をワントーン高くしてノボリへ微笑む
………柄じゃねー…
『今日お弁当作ってきたんです。一緒に食べませんか?』
「えっ…!?」
こら、戸惑うな!お前ホントに、女に免疫ねぇな!
つか驚くか照れるか、どっちかにしやがれ
視線で女を見やると、どうやら察した様で、ノボリは薄い笑みを張り付けた
「サータ様のお料理が…私…何て幸せ者なのでしょう!」
『大袈裟ですよ。それに…ノボリさんの料理に比べたら、私の料理なんて天と地の差がありますけど…』
おぉ、意外とノリが良い
台詞が棒読みで無いし、何より真剣だ…ま、当然ちゃ当然か…
「とんでもございません…私以前から、サータ様の手料理を食してみかったのです。私、感激でございますっ!!」
『やだ、ノボリさん…恥ずかしいです…』
わざとらしく俯くと、ノボリは満面の笑みを称えた
………うわ、貴重過ぎる…写真に収めて売り捌きてぇ…
「あぁ…照れたお顔も、なんとお可愛らしい…」
そこまで会話を続けていたら、背後で足音が響く。どうやら女性が耐えきれなくなり、去った様だ
『……お疲れ様でーす』
名演技
(おや、クリード?どうなさったのですか?)
(…お前ら、今すぐ俳優になれ…)
>これは、甘…なのか、ギャグなのか…
11.10.06.エムブロ記載
11.10.20.一部追加編集・記載
mae tugi
←