09ーlane


「お早うさん。朝っぱらからお熱いこった」

『…クリード、さん?』

「んな、怒るなよ…」



ノボリとの偽造恋人を開始した翌日から、俺達は共に出社する様になった。勿論時間が合えばだが

ぎこちないのは、まぁ…仕方ない…と言う事で。だってノボリだし



「来てるぜ」



不意に囁かれたクリードの言葉に、俺達は周囲を見渡す

すると俺達の少し後ろに、恨めしそうな表情を浮かばせる女性の姿が



『…………うわ、引く…良く耐えられましたね…』

「正直…私、限界でございました…」



こっそりとノボリは深い溜め息を漏らす…そりゃ俺が抜擢される訳だわ

俺でもコレは辛い…



「当然だ。周囲の事もノボリの都合も考えねぇで、テメェの思いだけ押し付けんだからな」



こりゃかーなり手強そうだ
本腰を入れた方が良いかも知れんな……ならば…


『あ、の…ノボリさん…』

「はい?」



声色をワントーン高くしてノボリへ微笑む

………柄じゃねー…



『今日お弁当作ってきたんです。一緒に食べませんか?』

「えっ…!?」



こら、戸惑うな!お前ホントに、女に免疫ねぇな!

つか驚くか照れるか、どっちかにしやがれ


視線で女を見やると、どうやら察した様で、ノボリは薄い笑みを張り付けた



「サータ様のお料理が…私…何て幸せ者なのでしょう!」

『大袈裟ですよ。それに…ノボリさんの料理に比べたら、私の料理なんて天と地の差がありますけど…』



おぉ、意外とノリが良い
台詞が棒読みで無いし、何より真剣だ…ま、当然ちゃ当然か…



「とんでもございません…私以前から、サータ様の手料理を食してみかったのです。私、感激でございますっ!!」

『やだ、ノボリさん…恥ずかしいです…』



わざとらしく俯くと、ノボリは満面の笑みを称えた

………うわ、貴重過ぎる…写真に収めて売り捌きてぇ…



「あぁ…照れたお顔も、なんとお可愛らしい…」



そこまで会話を続けていたら、背後で足音が響く。どうやら女性が耐えきれなくなり、去った様だ



『……お疲れ様でーす』


名演技

(おや、クリード?どうなさったのですか?)
(…お前ら、今すぐ俳優になれ…)


>これは、甘…なのか、ギャグなのか…


11.10.06.エムブロ記載
11.10.20.一部追加編集・記載


mae tugi


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