『バイト?麻衣が?』
「…うん…」
ある日の谷山家の夕食時
葵は麻衣の言葉に目を見開き、首を傾げた
バイトの事も驚く要因の1つなのだが。彼女が驚くのは、また別な要因がある
谷山家の財政は、殆ど葵の収入で賄われているからだ
彼女らの両親の遺産は、多少なりとも存在はしている。だが葵はその遺産には、一切手を付けず。高校の頃からバイト三昧して麻衣を育てた
高校に上がった麻衣も姉の負担を減らそうと、バイトをしている。が無理をしない程度に、と彼女の約束を守っている為に、収入は雀の涙程
そんな麻衣が新たにバイトをする、と言い出したのだ。しかもその雰囲気は不自然極まりない
よって葵が驚き、首を傾げる要因となった訳だ
『…麻衣、何かあったか?』
「な、ないよっ!!」
彼女が目を細めながら睨むと、麻衣は慌てる様に首を思い切り左右に降る
だがそのの瞳は何処か宙を泳いでいた
『(嘘、ってバレバレなんだけど…)』
葵は余りの妹の分かり易さに嘆息を漏らす。と共に彼女の将来が少々不安になる
『…麻衣が決めたなら構わないが、無理はしない様にな』
「うんっ!!」
満面の笑みを浮かべる麻衣に、彼女は失笑しか出来ない
『で。バイト先の名前は何っーの?』
「渋谷サイキック・リサーチ」
『………は?』
その言葉を聞き、葵は目を見開いて固まった
「ソコ、心霊現象の調査事務所なの」
あっけらかんと答える麻衣に、彼女は頭痛を覚える
『(…ちょ、待ってぇぇぇ!!
心霊現象調査事務所だぁ!?麻衣は先天的な霊的素質あんだぞっ!?接触して目覚めでもしたら、素質的に厄介なんですけど!!
てか何でこの子、こんなにやる気なのぉぉ!?)』
この間、僅か0,5秒
表情は苦笑しつつも、脳内ではマッハで考えが回転する
『(【奴】の差し金か何か、なのか?勘弁してくれ…)』
嬉々とする妹を余所に、姉は心底不安だった
***
初めちゃいました…GH…頑張ります…
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