『……何をしようとした?』

「……お粥を、作ろうと…」

『病人の自覚あんのか、テメェはっ!?ベットで大人しくしてやがれ!!』



只今俺の眼前にいるのは、弱りきったパジャマ姿のノボリ


――…事は数時間前に遡る



***


早朝の業務を終え、事務所に来ると双子の姿が無く

不審に思っていた所にクラウドが駆け込み、俺へ衝撃的な言葉を投げ付けた



「サータが信じとうない思いは、よぉ分かる。せやけどホンマや」

『…………有り得ねぇ』


双子揃って風邪でダウンて冗談だろっ!?



「白のボスは昨日のバトル中に、"なみのり"連発されたんやけど…なんやその後、身なり整えてなかっとったらしゅうてな」

『そういや、んな事ボヤいてたな…』



濡れたのにも関わらず、適当な処置
身体は冷える訳だから、当然風邪引くわな……頭痛が……



「黒のボスは、白のボスがサボった書類整理で疲労困憊やったし」

『………またかよ』



クダリが書類嫌いなのは、ギアステ職員全員が認知済み
つか、好き嫌い出来る立場じゃねぇだろうが…



「駅長は二人のどっちか戻るまで、サータが指揮しろ言うてたで」

『俺か……』



当然だろう
二人が不在、元々整備士長はサブマスと立場は同格。俺も今やサブマスの一人だしな



『…しゃあねぇ双子だ…』



ふと脳裏に嫌な予感が過る



『…悪ぃ、ちぃと抜ける』

「サータ?」

『問題児達、見てくるわ』



あの双子が大人しくしてるとは、到底思えないからな…



「成る程、了解や!ソッチは任せたで?」

『任せろ』



……あぁ、仕事が増えた…


****


てな訳で
サブマスの様子を見てみゃ、案の定



『……お前なぁ』

「もう…し、訳…ありま…せん…」

『喋るな、阿呆』



流石双子としか言えん
風邪の度合いも、同じ位に悪いときた

…こうなる前に一言、欲しかったがな



「サータ…ギア…ステー、ション、は?」

『あ?んなのとっくに対処済みだっつーの。俺を誰だと思ってやがる』



んで口を開くと、ギアステの心配…コイツら…



『…以前俺が駅長に提出した緊急時シングルシフト、あっただろ?アレを実験的に導入したんだよ』

「あぁ、アレ…ですか…」



この様な事例の時、緊急時用特殊シフトを以前駅長に提出していたのだ。ただコレは滅多にない事なので、保留になっていたが…

まさかこんな事態が本当に来るとは、誰も予想しまい



『お客様は一味違ったバトルが経験出来るし、俺達はデータが分かる。尚且つ今の現状を打破出来る。イベントとして大々的に広告してある、大事無いだろ』



俺への負担が半端無いが、そこは伏せておくか



『とりあえず飯食えたな』

「有り難うございます、サータ。大変美味しゅうございました」

『ただの卵粥だろ』



ノボリクダリ、共に飯も食ったし薬も飲んだな

これなら大丈夫だろ



『枕元に水置いておく、小まめに飲めよ』



風邪を引いた時は、小まめな水分補給が大事

とにかく汗をかかせないといけない



『クダリも飯食って薬飲んで、部屋でグッスリ寝てる。心配しねぇでとっとと治せ』



一緒の部屋で世話したかったんだが…流石に悪化されても困るんで、互いの部屋で休んで貰ってる

汗で前髪が張り付いてんじゃねぇか
前髪を払い除けてやると、ノボリは頬を赤くしながら珍しく笑みを浮かべた



「っ……承知しました」



廃人達の霍乱


「…サータ…これ、何?」
『見て分からんか?』
「二人の隠し撮り写真………売りさばくの?」
『当然』
「(ノボリさんとクダリが知ったら怒るだろうなぁ)」

****
柊様リクエスト
双子が風邪でダウン、夢主が看病する話…でした!

途中からノボリ夢になってしまいましたが…ご満足して頂けたでしょうか?
隠し撮り写真の事は、ご想像にお任せします(笑)

企画参加ありがとうございました!

12.04.03.



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