『……………』
俺の眼前では、えらい光景が展開している
そりゃそうだ
現役祓魔師達がこぞって、しかもガチバトルしてるなど有り得ねぇ
……この展開になるのには、些か時間を遡る
■■■
数時間前
俺とネイガウスさん、聖騎士を引退した獅朗さんが道化に呼び出された
しかも至急と
「お前らもか」
「ええ」
首を傾げながら、俺達は理事長室へと歩を歩む。そこには…
「なっ!?」
「エンジェル!?」
道化の隣には、現聖騎士であるエンジェルの姿があった
待て。何で本部にいる聖騎士殿が、此処にいる?
……いやーな予感がするぞ
「ご無沙汰している、獅朗」
「いやいやいや。何でお前がここにいる?」
獅朗さんの質問ご最も
だがエンジェルは慌てる様子もなく、笑みを深めながら口を開く
「最近周囲から、身を固めろと催促が多くてね」
「………それで何故に、日本支部へ?」
ネイガウスさんは眉間に皺を寄せながら、低い声音で問い掛ける
うわぁ…ネイガウスさん、キレかけてるよ
だがエンジェルが次に発した言葉に、俺達も道化も硬直させた
「刹こそ、私の花嫁にふさわしい!刹、是非私の妻になりなさい!」
「「「『………」」」』
今、何て言ったよ?
「「「何ぃ!?/何ですとっ!?/何だってっ!?」」」
『ヤダ、メンド』
誰がテメェの嫁になるか
俺も少し驚いたが、直ぐ冷静になった。コイツが俺を選んだのは、恐らく己が血縁に力を欲するからだろう
だが。この騒ぎ、ただ事では済まなかった
「エンジェル。私の愛娘に対してその態度、なんたる無礼極まりない」
「刹を嫁にしたかったら、オジサンを倒すこった」
親バカな道化と、親バカになりかけの獅朗さんがキレた
因みにネイガウスさんは無言で臨戦体制
………オイコラ、マテ
俺の制止の声も虚しく、現役祓魔師(一部除く)達によるガチバトルが勃発
で。冒頭に至る
『…………はぁ』
「姉さん、大丈夫?」
『そう見えるか?』
「んにゃ、全然」
その後ガチバトルを何処から聞き付け、奥村兄弟が駆け付けたものの。眼前で繰り広げられる光景に、二人共唖然
二人は俺に危害が来ない様、と側にいてくれている。優しい子に育ってくれて、姉さん涙ちょちょ切れるわ
「でもさ。これどーすんだ?」
「そうだよね…このままだと被害が増える一方だし…」
「…………あ」
不意に燐が何かを思い付いた様に、口角を上げた
……何を企んでやがる?
「姉ちゃん。イー兄と付き合ってるんだよね?」
『へ!?ま、まぁな…』
一応、ネイガウスさんとはお付き合いというのをさせて貰ってマス
まぁあんまり知られていないけど
「ふぅん…イー兄ぃ!刹姉ちゃんが、イー兄のお嫁さんになりたいって!」
『ちょ、燐っ!?』
ガチバトルの方へ、燐がとんでもない事を叫びやがった!!
……いやまぁ。なれればいいな、とは思ってるけどさ
ふとなぜか静かになったのに気付く。隣にいた雪男が目を見開いていた
「……あ。止まった」
『ウソン』
求婚受難曲
(ネイガウスかー…なら安心して任せられるな!)
(私としては複雑ですが、エンジェルより数百倍マシですね)
(…えらい言われ様だな…つかエンジェルは?)
(…奥村兄弟がツブしたぞ…)
(マジカ…)
***
柊様リク『IF設定で夢主がアーサーに求婚され、親バカ共+αVSアーサー勃発する話』でした
if設定というご指定があったので、好き勝手させて頂きました(--;)
補足をば
*獅朗現在、憑依したサタンは夢主がどうにかした模様
*奥村兄弟は幼い頃を覚えている。また燐は覚醒済み
*この時点で夢主とネイガウスは付き合ってる
*獅朗親バカ化、道化程ではない
柊様、こんな感じに仕上がりましたが御期待に沿えているでしょうか?
大変遅くなって申し訳ございません
企画参加、ありがとうございます!
12.07.25.