―…他人は所詮他人
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「てな訳なんだけどさぁ…」
「つか何故俺に相談する?」
「口が固くて尚且つ的確なアドバイスをくれそうだから」
高校の春
僕は初めて"恋"というものをした。世間では初恋は実らないっていうけど、そんなのどうだっていい。僕には関係ないし
ただ…問題が一つ
「人間不信の子を好きになるとは…マゾかお前」
「違うからっ!」
僕が好きになった子は、他人を信じる事が出来ない子だった。表面上そんな素振りは全くないので、僕だって本当につい最近知った程…
「もしかして俺と似たケースか?」
「その、もしかして」
この高校に通う一部の連中と僕は、"前世"からの付き合いで。しかも現代に転生した後も記憶はあるは、皆と再会するはで…嫌じゃないけど
勿論今、相談している彼女もその一人
「Ah-…だったら下手に信用させる様な真似はすんな、あくまで普通に接しろ」
「…それだけ?」
僕が他の皆ではなく、彼女に相談した理由はそれにある。"昔"彼女は幼少の頃、大変な生活をしていたから
「相手に信じろと唐突に言った所で、簡単に出来る訳なかろ?"昔のお前達"に説明渋った当時の俺の気分は、正にそれだ」
「………あぁ、うん。納得」
「ゆっくりで良い。急がば回れという諺まであるんだ、焦るな若者」
若者って、一応君も若いでしょ…
***
他人は所詮他人、信じられるのは自分ただ一人
そう、思ってた
「おはよう」
過去形なのは、この男…沖田のせい。私の周りをチョロチョロして、いつの間にか側にいるのが当たり前になってるけど…正直言ってウザイ
『………おはよ』
「ん」
でも最近コイツ変わった
前はストーカーかと思う程引っ付き回ってたのに、今はウソのようにパッタリ消えて。普通に接してくる
これが普通であって、前の行動が異常だったんだよね…でもなんだろ?この違和感
「沖田くーん!ちょっと良いかな?」
「ん、なに?」
イケメンな沖田はとにかく女子にモテる…しかしコイツの中身を知らないってのは、ある意味可哀想で哀れだ
だってコイツの中身って飄々としてて抜け目なくて、人を小馬鹿にするし
…ダメだ、空しくなるから考えるの止めよ
「ん、分かった。ありがと」
『……………』
「どうしたの?」
『…別に。ただアンタが毛嫌いしてる女子と話すなんて、珍しいと思っただけ』
「あぁ、伝言を頼まれたんだよ彼女」
『…伝言?』
「そ。僕の尊敬する女性(ヒト)からの」
『っ』
ビックリした
満面の笑みで言い切る沖田に言葉が続かない…ううん、違う。その笑顔にはどこか、愛しいという思いが見えかくれしてる
尊敬する女性(ヒト)とか言いながら、ホントはアンタの好きなヒトなんでしょ
…胸が痛いのなんか、きのせいよ。絶対に…
『…そ。よかったわね』
「……………」
結局コイツも同じ
誰も自分自身が可愛い、だから他人を騙す…私の無二の友人がそうだった様に、私の両親がそうだった様に…
『じゃ早くその女性(ヒト)の所に行ったら?』
私の周りをウロチョロしてるなら、早くそっちに行きなさいよ
やっぱり信じられるのは自分だけ…他人なんか、怖くて信じる事できない
「何か、勘違いしてない?」
『は?』
「言っておくけどさ。伝言された内容は僕への説教であって、色恋云々は全くもって皆無に等しい程にないから」
『は?説教?』
この沖田を、説教?
ち、ちょっと待って!そんな人いるのっ!?コイツを説教出来る人物って生徒会長の土方先輩だけって、もっぱらの噂だけど…えぇ?
「…気になる?」
『う"っ…』
ここでyesと答えれば、謎は解けるけど…沖田の思い通りになってるようで癪!
コイツに頼るなんて事したくない…なら自分で何とかするまでよ!
『ア、アンタに教わる必要なんてない!自力で調べてやる!ついでに沖田の弱点も教わってやるわ!』
「…………え"っ」
その恋、前途多難
(で?総司の方はど?)
(アレ見ろ)
(…ツンデレは可愛いんだけどさぁ…たまには笑ってくれてもいーじゃん)
(………第三者から見たら相思相愛に見えるの、黙ってた方が良いかな?)
(面倒な事になりそうだから止めてくれ…)
***
蒼衣様リク『学パロで、ひとを信じれなくなった夢主と総司の切甘話』でした
総司の片思いではなく、両片思いだったりします←
管理人が学パロを書くとこんな感じになります、切甘になって…いないような…蒼衣様のリクに添えてない感が(汗)こ、こんな感じで宜しかったでしょうか?
大変遅くなって申し訳ありませんでした
企画参加、ありがとうございます!
12.10.10.