鈴々音達が戦国乱世に、飛ばされた同時刻
――新撰組屯所では
「…新八、無事か?」
「…おう。左之、お前ぇも無事な様だな」
先の不可思議な現象が静まった後
中庭にいた全ての者は、意識を失っていた
そして次々と意識を取り戻すが…そこで山南が【違和感】を口にする
「…ちょっと待って下さい…土方君の姿が見えないのですが…?」
その言葉に、皆は周りを見渡す
居なくなったのは、土方だけではなかった
「青葉君もいないぞ!!」
「斎藤もだ!!」
「千鶴と薫もっ!!」
「風間もいないよ?」
中庭に重く、不安げな空気が立ち込める
風間は兎も角、土方達が行方不明なのだ
しかもその理由は依然として分からず
四方八方塞がりな彼等に、成す術などない
「…信じよう」
沈黙を破ったのは、新撰組局長である近藤だった
皆一斉に、彼に視線を向ける
「確かに理由は分からん。だがな、あいつらを俺達が信じないでどうする?あいつらが戻って来るまで、踏ん張ろうじゃないか!!」
近藤の力強い言葉に、不安地味た空気が一層された
彼は馬鹿が付く程のお人好し
だが彼の言葉には、鈴々音と土方に匹敵する程の力がある
だからこそ、皆は近藤を慕っているのだ
だからこそ、彼が新撰組局長なのだ
「だな!!近藤さんの言う通りだっ!!」
「うむっ!!」
次第に皆の表情から不安が消え、いつもの笑みと活気が戻る
「近藤さん。私が土方君と鈴々音さんの代行をしましょう」
「じゃ、オレ山南さん手伝う!!」
「お願いします、平助君」
「んじゃ、俺達ゃ斎藤の穴埋めもやるか?」
「面倒だけど…仕方無いかー」
「こらこら、総司君」
一同は、空を見上げた
真っ青な青空が、彼等と繋がっている事を信じて
そして彼等は彼等の信念の元、再び歩み出した
(早く戻って来いよ!!)
(貴方達の無事を、私達は信じていますから)
12.02.09.
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