― 幕間

土方達幕末組が、各々自室を宛がわれた後。政宗は密かに緊急召集をかけた



「なになに?どーしたの…って鈴々音っ!?」

『よぉ。久しぶりだな、成』

「これで全員揃ったみてぇだな」



召集されたのは、彼の重鎮とも言える家臣一同



「無事だったのですね!」

「お戻りになられ、何よりです」

『それがなぁ…厄介事付きだったりするんだわ』



二人が召集を掛けたのは他でもない、幕末組の事を説明する為だ

彼等はこの時代に詳しくはない、ましてや世界が違う
何かしらあった時に冷静に立ち回れる者達が居た方が良いと、考えに至ったのだ。勿論支援も含むが



「もしかしてさ、鈴々音と一緒に来た人達の事?」

『成、bingo。彼等はこの時代の人間でも、この世界で生きてた訳でもねぇ。別の歴史を辿った世界の、未来から来た客人だ』

「……それはまた、壮大な」



嘆息を漏らしたのは鬼庭綱元
政宗の右腕・片倉小十郎の異父兄であり、鈴々音が幼い頃の従者である

綱元はうっすらだが眉を寄せ、表情を歪ませた。恐らく幕末組が、政宗や伊達軍に危害を与えないかと考えての事だろう



「Don't worry.アイツらは鈴々音の仲間だ、俺達に刃を向ける事はねぇよ」

『つかんな事させねぇし』

「鈴々音様。女子の方もいらっしゃいますでしょう?」



問い掛けたのは、門前で幕末組を出迎えた喜多。青葉城女中頭だけあり、洞察力は並ではない

勿論それだけでない、彼女は小十郎と綱元の異父姉でもある。



『yes。その事も、彼等のこれからも決めたからその報告』

「……また勝手に決めて〜」



不機嫌そうに頬を膨らまさすのは、政宗の従兄弟である伊達成実

人懐っこくお調子者、だがその明るさは時に場を和らげる……まぁ精神的に何処か幼いが



「仕方ねぇだろ、状況が状況だ。何時までもアイツらを不安にさせる訳にゃいかねぇしよ」

『兎に角。伊達で受け入れる事は、政宗兄さんの了承の上でだ。一部剣に秀でてる連中がいるから、そっちは一兵に。残りは剣とは無縁の生活してた子達だから、俺と喜多のSupportに回す』

「あら、私の?」



驚く様に喜多は目を瞬かせるが、鈴々音は笑みを浮かべながら続ける



『女子だから問題無いよ、色々助けてやって』

「ええ。私にお任せ下さいませ」



彼女の力強い言葉に、鈴々音は胸を撫で下ろす。次いで政宗が口を開く



「内一人は小十郎のSupportに入る」

「小十郎の?」



成実は政宗と小十郎を交互に見やる。既に納得していた小十郎は慌てる様子も見せず、ただ力強く頷いた



『ああ。頭が切れる参謀typeだからな、小十郎頼むよ』

「は、お任せ下さい」



頭を垂れる小十郎に、政宗と鈴々音はつい苦笑を漏らす



「残りはー?」

『一人は無口無表情だけど実は熱いヤツで、居合いに長けてる。も一人は唯我独尊を絵に書いた様なヤツ、実力は確か』

「………うわぁ、個性的」



成実の口元が引き攣るも、鈴々音は嘆息混じりで目を細めた



『お前が言うか?』



そんな二人を余所に、政宗は話しを進める



「二人は一兵達と一緒にさせる」

「梵、大丈夫なの?」

「梵呼ぶな!大丈夫……だよ、な?」



つい政宗は鈴々音へ振り替える、その表情には一抹の不安が漂う

だが彼女の表情にも、不安が浮かんでいた



『………多分』


(これから賑やかになるね〜)
(どんな子達でしょうか?)
(気長に様子を見る、か)


12.07.18.



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