『……てな訳なんだけど』
「…………」
鈴々音達が政宗と出会ってから、数刻が経過した
今、彼女達が居るのは政宗の執務室
事の次第を把握する為、土方等幕末組と政宗達戦国組が集まり
双方に関連を持つ鈴々音が、事情を説明した
そして全てを話し終えた後、重い沈黙が部屋を包む
「……Ah-.大体事情は把握した。だが鈴々音、ソレは本当に婆娑羅だったのか?」
沈黙を破ったのは、鈴々音の義兄である政宗だった
彼は土方達より、【経緯】に疑心を抱く
だがそれは、至極当然の事である
政宗達が生きる戦国乱世ならまだしも、土方達の生きる世界は存在しないのだから
「竜の旦那達が疑うのも無理ないけどさ。でもアレは確かに【闇の婆娑羅】だったよ、俺様もこの目で見てるしね」
苦笑しながら、佐助が会話に入る
彼もまた双方に関連を持つので、鈴々音と共に説明役に回っていた
その言葉を聞き、政宗の側にいた小十郎が口を開く
「そういや猿は闇属性だったな…」
「そ。だからアレは間違いなく、闇の婆娑羅だよ」
眉を潜めながらも、政宗達戦国組は納得せざるを得ない
何せ婆娑羅者二人の詳言があるのだから
しかしながら、これに幕末組が着いていけずにいた
そんな中、鈴々音が溜め息混じりで言葉を紡ぐ
『兎に角だ。原因は婆娑羅だが、アレの発生理由等詳しくは分かっていない。
またこちらに来た幹部が一部の事を見て、後から来る連中が居るかもしれん』
「…頭の痛ぇ話だ…規模がデカ過ぎる…」
彼女の言葉に土方が頭を抱えながら、溜め息混じりで小さく呟く。彼は幕末組で唯一、話に付いていける者でもある
そんな彼から、鈴々音はバツが悪そうに視線を逸らす
『…ソレ言うな、トシ…』
困惑する幕末組一同
そんな彼等を政宗は、真っ直ぐな瞳で見詰めていた
「………」
「政宗様、如何為されましょうか?」
主の僅かな異変に気付いた小十郎は、政宗の視線を辿る
その先には不安な表情を浮かべ、震えながら身を寄せている千鶴と薫の姿
「…薫…」
「…大丈夫だよ、千鶴…」
「…………っ」
小十郎は二人を見て、息を呑む
此処は彼等が住んでいた世界ではない
ましてや、世は戦国乱世
特に若い千鶴や薫が、不安にならない訳がない
「決めたっ!!」
突然政宗は叫び、立ち上がる
皆が皆、彼の行動に首を傾げた
「政宗様?」
『…政兄?』
「お前等全員、帰れるまで青葉城に滞在しろっ!!」
その台詞に、室内が静まり返る
『…え?ちょ、本気?』
(…あはー。竜の旦那、唐突過ぎ…)
(……全員固まってら…どーすんだよ、コレ…)
12.02.29.
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