其の八

『……てな訳なんだけど』

「…………」



鈴々音達が政宗と出会ってから、数刻が経過した


今、彼女達が居るのは政宗の執務室

事の次第を把握する為、土方等幕末組と政宗達戦国組が集まり


双方に関連を持つ鈴々音が、事情を説明した


そして全てを話し終えた後、重い沈黙が部屋を包む



「……Ah-.大体事情は把握した。だが鈴々音、ソレは本当に婆娑羅だったのか?」



沈黙を破ったのは、鈴々音の義兄である政宗だった

彼は土方達より、【経緯】に疑心を抱く


だがそれは、至極当然の事である

政宗達が生きる戦国乱世ならまだしも、土方達の生きる世界は存在しないのだから



「竜の旦那達が疑うのも無理ないけどさ。でもアレは確かに【闇の婆娑羅】だったよ、俺様もこの目で見てるしね」



苦笑しながら、佐助が会話に入る

彼もまた双方に関連を持つので、鈴々音と共に説明役に回っていた


その言葉を聞き、政宗の側にいた小十郎が口を開く



「そういや猿は闇属性だったな…」

「そ。だからアレは間違いなく、闇の婆娑羅だよ」



眉を潜めながらも、政宗達戦国組は納得せざるを得ない

何せ婆娑羅者二人の詳言があるのだから


しかしながら、これに幕末組が着いていけずにいた

そんな中、鈴々音が溜め息混じりで言葉を紡ぐ



『兎に角だ。原因は婆娑羅だが、アレの発生理由等詳しくは分かっていない。
またこちらに来た幹部が一部の事を見て、後から来る連中が居るかもしれん』

「…頭の痛ぇ話だ…規模がデカ過ぎる…」



彼女の言葉に土方が頭を抱えながら、溜め息混じりで小さく呟く。彼は幕末組で唯一、話に付いていける者でもある

そんな彼から、鈴々音はバツが悪そうに視線を逸らす



『…ソレ言うな、トシ…』



困惑する幕末組一同

そんな彼等を政宗は、真っ直ぐな瞳で見詰めていた



「………」

「政宗様、如何為されましょうか?」



主の僅かな異変に気付いた小十郎は、政宗の視線を辿る

その先には不安な表情を浮かべ、震えながら身を寄せている千鶴と薫の姿



「…薫…」

「…大丈夫だよ、千鶴…」

「…………っ」



小十郎は二人を見て、息を呑む


此処は彼等が住んでいた世界ではない

ましてや、世は戦国乱世


特に若い千鶴や薫が、不安にならない訳がない



「決めたっ!!」



突然政宗は叫び、立ち上がる

皆が皆、彼の行動に首を傾げた



「政宗様?」

『…政兄?』


「お前等全員、帰れるまで青葉城に滞在しろっ!!」



その台詞に、室内が静まり返る



『…え?ちょ、本気?』




(…あはー。竜の旦那、唐突過ぎ…)
(……全員固まってら…どーすんだよ、コレ…)

12.02.29.



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