雪乃を手厚く葬った輝宗は紫苑を連れ、青葉城へと帰還した
【城主が赤子を連れ帰った】
この事で城中が大騒ぎ
特に上役が黙っていなかった
「なりませぬ!何処の馬の骨とも分からぬ赤子を、伊達に迎えるなど言語道断っ!!」
輝宗は上役を集め、紫苑を伊達の養子にする事を伝えた
が。上役全員が猛反対
上役も出生が定かではない者を受け入れ、伊達に何かあったらと…心配しているのだ
「では皆はあの赤子を、放り出せと言うのか?まだ生まれて間もない赤子を?」
「それは…」
輝宗自身、紫苑の出生は把握していた
だがその複雑な出生故、上役には敢えて伏せたのだ…紫苑の将来を思って
「良いではありませぬか」
そこへ凜とした声が響く
「義姫様…」
そう、輝宗正妻の義姫だ
彼女は穏やかな笑みを讃え、部屋へ足を踏み入れる
「生まれがどうであれ、赤子一人を養えない事はありません。それに…」
「それに…何だ?」
くすくす、と義姫は笑みを零す
首を傾げて輝宗は、問い掛けた
「あの赤子、梵天丸によぅ懐きまして。まるで本当の兄妹の様でしたわ」
「そうか…赤子一人養えず、放り出す。世間が知れば、我らは何と言われるだろうな?」
「ぐっ…」
輝宗の冷え冷えとした声色に、上役達は言葉に詰まる
「ここに宣言す!紫苑は今より、我が娘とする!心しておけっ!」
こうして紫苑は、伊達家に迎えられた
壱 完
mae tugi
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