いつの間に

「なぁ…そういや青葉は新八を名前で呼んでんな。何時からだ?」



ある日の事

原田が青葉に疑問を投げた



『何時からって…池田屋の時にいらないと、本人から言われまして』

「新八っつあん、いつの間に…」



感心の息を吐く平助、対する新八は苦笑を漏らす



「いやよぉ…何かむず痒くてよ…」

「あ、分かる分かる!」



新八はふと、思い付いた様に口を開いた



「てか青葉って、初対面の奴には絶対猫被るみてぇな」

『…新八、何気に見てんな』



目を瞬かせて青葉は驚き、しばしそのまま固まる



「以外だろー」

「人は見かけによらないよなぁ…」



言いたい放題言う二人に、新八の口元が引き攣る。がそれを気にしないのか、気付かないのか会話は続く



『一見原田殿辺りがそう見えるんだが、逆だからな。平助はまんまだが』

「まんまって?」



首を傾げて問いかける平助に、青葉はさらりと答えた



『天真爛漫、猪突猛進、特攻隊長』


「「ぶっ!ぶはははっ!そのまんまじゃねぇか!」」



これに新八と原田は大爆笑


腹を抱えて笑い転げる二人に、平助はご立腹



「煩いよっ!じゃあさ、じゃあさ!この二人はどうなんだよっ!?」



横目で二人を見た青葉は口を開いた



『…新八が【剣と酒と女好きそうな三枚目で、一本筋な豪快馬鹿】、

原田殿が【見た目良いけど喧嘩っ早くて口悪そうで、本命にヘタレな義理堅い奴】』


「「はぁぁぁ!?」」



一気に言うと、二人からは不満に似た声が上がる



「ぶっ!全部当たってんじゃーん!」



仕返しと言わんばかりに、平助が腹を抱えて大爆笑



「ったく…てかよ、その原田殿止めてくんねぇ?」

『は?』



原田の台詞に青葉は、素っ頓狂な声を上げる



『何かよ…"殿"なんて付けられる柄じゃねぇし、第一青葉は平助と歳変わらねぇだろ?』

『確か…三つ四つ位だった様な…』

「だったら尚の事、俺の事は呼び捨てな。敬語もいらねぇぜ」



考え込む青葉を余所に、原田は勝手に話を進めてしまう


浅く溜息をついた青葉は、もう何をいっても無駄と理解したのだろう



『分かった、分かったよ!敬語無しのタメ口で良いんだな、左之?』

「おうっ!」



満足げに笑う左之助に、青葉は苦笑を漏らす。が、ふと己の本来の目的を思い出した



『…そういや…』

「どした、青葉?」



表情を引き攣らせる青葉に、首を傾げる三人


『本来の目的を忘れてたよ…

お前等報告書はどうしたぁ!


「「「すんませーん!」」」



*****



「遅せぇ」

『開口一番ソレかい』



三人から報告書を何とか回収した青葉は、土方の自室にいた


青葉は報告書未提出の三人組から回収する様、土方に頼まれていたのだ



「あの三人から報告書回収すんのに、どれだけ時間くってんだよ」

『悪りぃ、左之に捕まった』



それを聞いた土方は、筆を止めて目を見開く



「…そういう事、か」

『察しが良くて助かるよ』



溜息混じりで青葉は、三人とのやり取りを土方に話した



「…左之助らしいな」

『だろ?…って何?』



ふと青葉は土方から来る、視線に気付いた

だが土方は無言でそっぽを向き、再び筆を動かす



『…?まぁいい、土方さん。左之達からの報告書、誤字脱語の確認はしといた』

「おう…その土方さん、ての何とかなんねぇか?」



土方が眉間に皺を寄せながら呟くと、青葉はしばし固まる



『……お前もか!?』

「今更だろ!?」



驚いて叫ぶ青葉だが、逆に土方に突っ込まれてしまう


彼の言葉を聞き、青葉は納得した様な表情を浮かべた



『…言われてみれば…』

「おめぇの好きに呼べばいい」



溜息混じりで青葉に告げた土方は、再び筆を軽快に動かす

青葉は少し考え込んだ後、口を開く



『……んじゃトシ』

「………おう」

『何、その間は?気に入らねぇなら変えるよ?』

「別に…」



ぶっきらぼうに言った土方だったが、頬に赤身が刺した事を青葉は気付かなかった



いつの間に 完


***
時期的には池田屋後から数日後
三人組で左之だけ、仲間外れだったのでこちらでup(苦笑)
本編都合により、土方の呼称も変更

因みに夢主の三人組の印象、大体なので余り気にせず


mae tugi







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