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「青葉ー!」



屯所の廊下を疾走する平助

疾走してた平助が勢い良く、青葉の自室に飛び込んだ



「青葉!………へっ?」

『……は?』





―鬼の居ぬ間に―






青葉の自室に飛び込んだ平助は、目を見開いて固まった



『……平助、廊下で待機』

「は、は、はいっ!」



直立不動だった平助だったが、青葉の不機嫌な声に戸惑いながら、直ぐに部屋から出た



「…………」



廊下でちょこんと正座して待つ平助だが、顔色がどこか可笑しい



「おや、藤堂君じゃないか。どうしたんだい?」



そこへ井上が書類片手に現れた


不思議そうに小首を傾げながら問う井上に、平助は何も答えず



『……平助……』



するとそこへ、最っ高に不機嫌な青葉が部屋から出て来た



「青葉君、一体どうしたんだい?そんな顔をして」

『……井上さん……』



青葉は井上を見ると、深い溜息を漏らす



『ったく。土方さんが大阪出張中だってのに……』



現在土方は山南と共に、大阪へ出張中


青葉は出張前、彼から問題を起こすなと、重々言い付けられていた



『……仕方ない、話すか』



彼女の言葉に二人は首を傾げる



『とりあえず二人共、中に入って下さい』



青葉に促され、平助と井上は青葉の自室へと足を踏み入れる

その部屋は必要最小限の物しかなく、至って簡素だった



『…さて、と。二人は俺が新選組に来た時に、話した素性を信じてないですよね?』



青葉の言葉に、二人は視線を泳がす



『信じてないのは、仕方ねぇよ。アレ嘘っぱちだし』



さらりと言い切る青葉に、平助も井上も絶句



『今から俺の本当の素性を二人に話す。信じたくないなら、信じなくて良い。だが今から言う事に、嘘偽りはない



そうして青葉はゆっくりと口を開いた



*****



どれ位、経っただろう



『……以上だ』



全てを語り終えた青葉は目を伏せ、沈黙する

平助も井上も、その事実に言葉を無くしていた



「……トシさんは、知っているんだね?」



搾り出す様な声色で、井上は青葉に問い掛けた

青葉は頷いて、口を開く



『一番最初に気付いたからな…全部知っているよ』

「……あれ、近藤さんは?」



思い付いた様に呟く平助


それに青葉は渋い表情を浮かべた



『あー…うん、近藤さんに言うと、な…根が素直過ぎるっうか…顔に出やすいっうか…』



口ごもりながら語る青葉に、二人はつい納得してしまう



『…ま、まぁ近藤さんの事は、土方さんも承諾してくれたしな…』



苦笑いを浮かべた青葉の視線は、どこか遠い

不意に青葉が平助を見る



『平助。お前今日の夕餉のおかず、一品減な』

「えぇー!?」

『えぇ、じゃない!他人の部屋に入る時は、ちゃんと声を掛けろ!』



不満の声を上げる平助だが、逆に青葉に説教されてしまう



「…藤堂君、もしかして…」



井上が怪しげに平助を見る



『あぁ、着替え見られた』



呆気らかんと答える青葉に、平助の顔から血の気が引く



「…藤堂君…」

『俺だったから良かったものの、千鶴にゃすんなよ?』



――間――



「……青葉君?」

『はい?』



恐る恐る問い掛ける井上



「君はもしかして、女性として…」

『女としての自覚?欠片位しか、持ち合わてないですよ?それでしょっちゅう、土方さんに怒られてますよ』




mae tugi







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