なら良い


背後霊と言うのを、俺は侮っていた

と言うのも
欲しがった情報を、難なく入手しやがった…確かに幽霊なら、物体関係ねぇな…



【四代目にはお世話になってるからね】



そう書き綴る奈央の文字は、微かだが掠れがある。それもそうだ、俺が欲しがったのは売人の名前と顔。そして現場の住所。恐らくコイツは余計なものまで、見ちまったんだろう



「阿呆かお前は…」

【ひど!】



間髪入れずに突っ込み入れやがった、コイツ…園芸部か…



「文字、掠れてんぞ。怖かったんだろ?」



俺の問いに奈央は直ぐに応えず、少し間を置いてから筆が走った



【うん、こわかった】



ゆっくりと認めた文字は、先程より掠れが酷く。無理をしてやがったのが、一目で分かる。ったく…馬鹿が…



「強がりやがって…俺の為にって、無茶はすんな」

【はぁい】



奈央の姿は捉える事は出来ねぇが、恐らく不貞腐れてんだろ

だが
最近コイツとのやり取りは悪くねぇと、柄にもなく思い始めていた



「なら良い」


(そ、壮さん…どうしちまったんだ?)
(わ、分からねぇよ!)
((あ、珍しく笑った!))


11.09.17.
11.09.21.移転

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