そ、だね…
「いい加減、機嫌直せ」
あれから私は四代目と険悪…私に非はない!
「ったく…」
――…むぅ…ん?
窓から外を眺めていたら、向こうの空が真っ黒。あれって…
四代目の服の裾を、ちょいと摘まむ
「あ?」
【雨雲来てるよ。鳴海君雨具持って来てるの?】
メモにそう走り書くと、四代目は一気に眉を寄せる
「……持ってなかったな」
――…あ、振りだした
ついに振りだした雨は、激しく窓を叩く
その勢いは半端ない
「…こりゃ暫く止まねぇな」
【鳴海君、帰れなくない?】
「………チッ!園芸部!帰る支度しろ!」
不機嫌な表情で四代目は、PCを扱っているであろう鳴海君へ叫ぶ
――…何だかんだ言って、鳴海君に甘いんだよねぇ。四代目って…
外見はこんな、だけど…ね
***
「スミマセン、送って貰って…」
雨の音をBGM代わりに、四代目の車が颯爽と走る
因みに私も乗車してます、外の空気は新鮮〜
「…あ、あの…四代目…」
「あ?」
「途中…寄って貰いたいところ、が…」
鳴海君、どこかに用事あったんだ
……なに、四代目?その不機嫌そうな表情
「あぁ?いてっ!?…分かったよ…」
運転中にも関わらず、私はつい四代目にメモ帳を投げた
……次から止めよ
鳴海君のナビで辿り着いた先は…
「……病院だと?」
「……はい」
真っ白な建物に、二人は静かに入っていく
なんだか、不思議な感じがする…
「誰か知り合いが、入院でもしてんのか?」
「僕と彩夏の、クラスメイト…が」
……そう、なんだ……
「初耳だな…っておい、ICUだと?」
「…事故にあってから、目覚めなくて…恐らくこれからも…」
窓越しに鳴海君は、病室に横たわる人物へ悲しげな瞳を向ける
――… …………
そっか、だから…
「早く、目を覚ましてよ…奈央」
「っ!?」
四代目が息を飲む音が響く
――…そ、だね…(止まった歯車は、動き出した)
11.10.19.
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