呼び方変わったな
四代目との奇妙な生活を始めて、早や数ヶ月。平坂組の皆さんに、受け入れて貰いました。鳴海君が根気よく、皆さんに説明してくれたお陰!本当にありがと!
――…あれ?
四代目のデスク周りを漂ってると、ある事に気付いた…あー…どうしよ…アレはみっともないなぁ。
仕方なく、服を引っ張る
これは姿の見えない私の、唯一の意思表示
「おっ?」
「奈央?」
気付いて貰った!
直ぐ様四代目が用意してくれてるメモに、走り書く
【岩男さん、服脱いで】
…………………………
「奈央さんっ!?」
一瞬事務所が静まり返った
あの四代目も、椅子から転げ落ちる寸前で
――…あ、間違えた
【違う違う。岩男さんの服がほつれてるの】
「…良く気付いたな」
感心する様に四代目が目を瞬く。岩男さんの服の一部がほつれてんだよね、しかも目立つトコ。ありゃ流石に、みっともない
【針と糸、ありますか?】
四代目が用意してくれた裁縫キットで、ほつれを直していく
つかキット、常備なのかな?
「おおっ〜!」
針と糸、服が宙に浮いてる光景は何とも奇妙。数分もしない内に、ほつれは直った
――…よし、出来た!
【何かに引っ掻けたんでしょうね。気をつけて下さい】
恐らく釘か何かだろう
すると岩男さんは、服を受け取りながら号泣。うーん、そんな大層な事をした覚えはないよ?
「お嬢、ありがとうございますっ!」
「…呼び方変わったな」
(お前意外と上手いな)
(四代目には負けます)
(……………るせぇ)
11.10.06.
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