事が終了終した陣内家の広間で、一族勢揃いで食事を取っていた

そこには健二が初日訪れた際、不在だった頼彦・邦彦・克彦兄弟の姿もある



「健二さん、あんた今日は頑張ってくれたんだってね」

「いえっ!僕は…何も…皆さんの頑張りに比べたら…」

「凄いんたよ!OZのトラブル直しちゃったのよ!」



正確にはラブマシーンによって書き換えられたセキュリティを破る為、暗号化したパスワードを解いたのだが


陣内家に受け入れられ、健二は薄く笑みを漏らす

だが彼はまだ気付いていない



賑やかな部屋に、電話のコール音が突然鳴り響く

皆一斉に、そちらに視線を向ける



「はいはい」



それを万理子が取りに行くが、直ぐに受話器を持って戻ってきた



「健二君、お電話」

「僕にですか?」

「ええ、お姉さんから」

「え゙っ!?」



万理子の言葉を聞くなり、健二は目を見開いて固まってしまう

それに皆が首を傾げる



「け、健二、君?」

「…は、はい…」



恐る恐る健二は、万理子から受話器を受け取ると、震える声で問い掛けた



「も、もしもし…?」

《この愚弟っ!人様の家で何やってんだっ!》


「ご、ごめんなさい〜!!」



するといきなり電話口から、怒鳴り声が響く

健二に至っては今にも、泣きそうな表情を浮かべている


それに陣内一族は総出で呆然



《ごめん、で済んだら何もいらんだろ!現状分かって言ってんの!?》


「ど、ど、どうして…」

《佐久間君から聞いた》

「佐久間…」

《はぁ…あんたの説教は後回し、御当主に繋げなさい》

「え、栄さんに…?」



健二は首を傾げながら、栄を見やる



《繋げなさい》


「は、はいっ!」



冷え冷えとした声色に、健二は直立した

受話器を持って直ぐに彼は、栄の元へと駆ける



「あ、あの…僕の姉がお話がしたいと…」

「私とかい?…もしもし?」



首を傾げつつ栄は、健二から受話器を受け取った



「…健二くん…もしかしてお姉さんに頭上がらない?」

「…全然上がりません…」



健二は溜息を漏らしながら、ちらりと栄を見やる

嬉々と話す彼女に、不安を隠せなかったのだ



「はい、お待ちしてますね……健二さん、貴方のお姉さんがこちらに向かってるそうですよ」

「えぇ!?」



栄の言葉に健二は勿論、全員が目を見開く

不意に突然、エンジン音が響き渡る



「…何の音?」

「…まさか!?」



健二が急に立ち上がり、陣内家の塀を見た


刹那
赤い単車二輪が見事空を舞い、塀を飛び越えて来た



「お見事」



これに栄を除く、全員が絶句

ただ一人絶句しなかった彼女は、満足そうに笑みを零していた


単車二輪は庭で鮮やかな着地を決めると、直ぐにエンジンが切れる



「だ、誰だ!?」

『………』



単車の操縦者はメットを外すと…
思い切り健二に外したメットを投げ付けて来た



「いだっ!?」

「健二くん!?」



しかも外れる事なく、健二に命中



『この愚弟!何やらかしてんだい!』

「……姉さん、酷い……」







「……えぇー!?」





***
派手な登場(笑)



[モドル]


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