はっぴばーすでー とぅゆー




歌声が響く

だがその歌声は、微妙に不協和音


ウクレレの曲もこれまた微妙




はっぴばーすでー とぅゆー




中庭で歌うは陣内家一同

その中に小磯姉弟の姿もあった




はっぴばーすでー 
でぃあ おばあちゃ〜〜ん




彼等の前には朝顔に囲まれた、優しく微笑む栄の写真

朝顔は彼女が好んだ花だ


その花を彩った浴衣を着た夏希が、中心となって歌を奏でる




はっぴぱ〜すで〜 とぅ〜ゆ〜〜〜





一同の拍手喝采が起きた


今日は栄の葬式兼、誕生日会



その光景を参列者は呆然と見やる


中庭の一角では万助が、烏賊を手早く焼き振る舞っている


その烏賊焼きを持ちながら、子供達ははしゃぎ回り


栄の遺影の前では、了平が優勝旗を掲げながら号泣している




『…なんっーか…不思議な光景…』



その摩訶不思議な光景を、凪は中庭の一角で眺めていた



「凪」

『理一先輩』



そこへ理一が彼女の元へとやってくる



「…お疲れ様」

『はい、理一先輩もお疲れ様です。所で……アレ、大丈夫なんですか?』



と凪が指差すのは、ボロボロになったアンテナモジュール

【あらわし】衝突の際に被害を受けたのだ


それに理一は苦笑を浮かべる



「あぁ……大丈夫じゃないか?
多分

『……今、多分って言いましたよね?』

「それより凪はこれからどうするんだ?健二君に付き添うのかい?」



そう

これが済んだら健二は警察へ出頭する


OZの暗号を解読してしまった件の、事情聴取の為だ



『先輩……コレ……』

「ん?」



眉間に皺を寄せながら、彼女は理一に携帯画面を見せる

そこには
【解決したなら早く帰って来い!】

とのメール画面が



「…アイツ、らしいな…」

『でしょう?』



二人は顔を見合わせ、笑い出す


凪の上司と理一は、実は同期

彼女の上司の性格は、彼も良く知っていた



『…仕事、溜まってそ…』

「アハハ……健二君から聞いたんだが、お父さん帰って来るんだって?」

『ええ、約一年振りに』



健二と凪の父親は、海外へ単身赴任中

しかも中々帰ってこない



『今回の件があって帰国するそうで……後でみっちり絞ってやりますケド』

「ほ、程々な…」



彼女の黒い笑みに、理一は表情が引き攣る

すると健二と夏希の方が、騒がしくなった


どうやら二人の仲を皆が冷やかしてる様だ



「おっ、面白そうだな!ちょっと行ってくるよ!」

『……先輩……』



ニコニコと笑いながら二人の方へ向かう理一に、凪は苦笑しか出来ず


仕舞いには二人にキスしろ、と皆がせがむ始末

これに翔太が黙っている訳ない



だが肝心の健二は鼻血を出してしまう

それに苦笑した夏希は、彼の頬にキスを


途端に健二は真っ赤になって倒れてしまう



「「「弱っえ〜」」」


『全く…情けないね…』




[モドル]


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