空は陽が落ち、星達が瞬く頃



夕方の件で多少ごたついたものの、漸く陣内家は食事を取る事が出来た

亡き栄の言葉に従い、全員揃って食卓を囲む。その中には小磯姉弟の姿も


そんな賑やかな食卓に、突然機械音が響く



『スイマセン、私の携帯です』



発信源はどうやら凪の携帯らしく、彼女は申し訳なさそうに席を立つ



「…そういや…アイツ、OZの管理側関係者だったな」



ポツリと呟いた佗助の言葉に、皆の視線が一同に部屋の隅に移動した凪へと向かう

その当の本人は既に会話中



《…しかし…無茶したな。まさか二重陰(ダブル・シフト)まで使うとは思わなかったぞ?》

『るせぇよ』



相手の言葉を聞き、彼女の表情が僅かに歪む

一方、電話の向こうで微かに笑い声が聞こえた



『メインサーバーは?』

《よーやく復活した…目茶苦茶大変だったんだぜぇ?》

『いや、こっちも大変だったっーの』



携帯片手に凪は、盛大な溜息を漏らす

どうやらまた、OZ運営側と通話している様だ。皆もそれに薄々感づいている



《まぁ、確かにな。そういや、そっちの被害は?》

『…屋敷が半壊しとるよ…』



あの見事な日本家屋が、今や見る形すらない

彼女は横目で屋敷を見やりながら、声色を落とす



《……こっちから少し資金援助してやろうか?》

『マジでか?ありがてぇが、上層部が納得すんのかよ?』

《させるさ、俺を誰だと思ってんだ?

OZ創設者の1人で、現最高責任者だぜ?




通話口から漏れたその言葉に、皆が絶句

まさか凪が話している相手が、OZ創設者の一人で、今は最高責任者とは…誰も予想していなかったからだ



『知ってるっーの…だが上層部の連中は、癖の強い奴らばっかだろうが』



電話の相手の立場を、彼女は以前から知っていた節を見せた

そして凪は、何故かOZの運営側により詳しい台詞を零す


それに皆が首を傾げていたが、次の瞬間とんでもない台詞を耳にする



《お前の言葉がありゃ、十分だろ。

お前だって創設者の一人だしな


『……元・創設者、だ』



彼女は大きく溜息を漏らしながら、頭を垂れた



《……悪ぃ、まだお前【創設者】の立場》

『…………はぁ!?』



その言葉を聞いて、凪は目を見開く



『何寝ぼけてんだ!?てめぇ取っ捕まるぞ!俺が創設に関わったの幾つの時だと思ってやがる!!大体創設時の条件が【創設以外は運営に関わらない】だろうが!!』

《……あ、相変わらずだな…お前…仕方ねぇだろう…上層部の連中が承諾しなかったんだよ…》

『っざけんな!!ソレを承諾させんのがてめぇの仕事だろ!!』




目くじらを立て、まるで人格が変わった様に叫ぶ彼女

そんな姿に陣内家は呆然



「……ねぇ……あの子、一人称変わってない?」

「…姉さん、本気で怒ると一人称が【俺】になるんです…」

「…しかも毒舌マシンガントーク…」



すると溜息を漏らしながら、健二が口を開いた。それに後を追う様に夏希が続く



「…もしかして、二人共経験済み?」



伺う様に聖美が問い掛けると、二人は力強く頷いた



「……あらら……」

『……分かった……チッ…』



会話を終わらせた凪が、テーブルへと歩み寄る。不機嫌な表情を携えて



「……お前、創設者だったのか……」



そんな彼女に声を掛けたのは佗助

今だ凪には、眉間に皺が寄っている



『あ?あぁ…口外すんなよ?創設に携わったの、13の時だから…』

「……13、ってアンタ……」



…法と言うのを分かっているのか…

彼女は皆に口止めをしながら、茶を啜る



『まぁ、若気の至り…ですよ…』




***
彼女のOZの立場、暴露
これについてはかなり悩んだんですが…当時最強ハッカーだった、という事で←おい



[モドル]


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