タイムリミットは、2分を切った

再び暗号解読に挑む健二


新たにパスワードを入力して、画面を切り替えた



「開いた!」






≪シシシッ…≫



健二の努力を嘲笑うかの様に、ラブマシーンはまたも裏から妨害をかけた






そして再度数字の羅列が、邪魔をする



「あぁ!また!」


「(だめだ…もっと…もっと…速く…速く…速くっ!)」



レポート用紙から顔を上げ、目が飛び出る様に彼はモニターを睨む

その瞳は無数の数字の羅列を、必死に追い続けていく



そして…健二の手から筆が落ち、直接キーを叩き始めた



「あ、暗算…!?」



つぅ…と、彼の鼻から鼻血が流れる


【あらわし】は刻々と地上へと向かっていた

タイムリミットも残り僅か


そんな中で健二の脳裏に、栄の言葉が蘇る




大丈夫――
あんたならできるよ





≪後1分!≫




見事暗算で暗号を解いた健二は、再び管理画面へと辿り着く






≪シシシッ…≫



それをラブマシーンがまたも妨害しようと、腕を上げた…その時だ



≪邪魔ぁするなぁぁぁぁぁ!≫




後方からカズマが彼に襲い掛かる

侘助の手腕で、防御力はゼロになったラブマシーンに手立てはなく


カズマの渾身の一撃によって、ラブマシーンは粉々に粉砕された






それと同時に

補正情報を送信するか否かの、二択画面が現れる



「よろしくおねがしまぁぁぁす!!」




健二は迷わずEnterキーを押すと、画面の時計の針が回って【成功】のメッセージが



その頃【あらわし】は補正情報を受け、軌道を僅かに変え始める





「や、やった…?」



皆がゆっくりと、視線を横に向ける



『呆けてないで、皆早く固まれ!子供達は中に!急げっ!!』




凪の喝に、全員が慌てる様に動き出す

周囲を見渡していた彼女だが、突然腕をかくばった手が掴む



「凪っ!」

『っ!』



それは理一の手で

凪は彼の腕の中に抱きしめられる



刹那、響き渡る盛大な衝突音

その衝突は全てを薙ぎ倒し、膨大な土煙を発生させた


そして、勢い良く噴き出る水



衝撃が収まった頃

人垣から先にはい出た子供達は、勢い良く噴き出る水を眺める



「…温泉だ…」

「おんせんだ…」

「温泉出たー!」



【…りました…】



モニターが鈍い音を起て、起動を始めた



【ついにやりました!上田高校、奇跡の大逆転!!】

「えっ!ほんと!?」



この吉報に、由美がいち早く食らいつく



【ナイン一同、喜びに涙が止まりません!】



全員が目を見開いて、モニターを凝視する



【キャプテン陣内が今、優勝旗を手にしました!!】



モニターには大泣きしながら、優勝旗を持つ了平の姿が写っていた



【これで24年振りの、甲子園出場となります!!】



『…理一先輩…』

「ちょ…理一、あんた…落下地点を何処に…?」

「う…裏山?」



表情を強張らせて問い掛ける直美に、理一もまた幾分固い笑顔で答える

その理一の胸を必死に叩く手が



『…理一先輩、苦しい…』

「す、スマン!!」



抱きしめ過ぎていた様で、凪は窒息寸前

これに理一は頬を染めながら、慌てて身を離す


次第に皆の表情に笑みが浮かぶ



【感動のフィナーレです!】



「やったぁぁ!!」





***
あとちょいで完結です



[モドル]


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