落胆する健二、だが彼の背後に近付く陰が
その陰は健二の背中を、力強く叩く
「シャンとしろ!俺達がついてるっ!」
それはあの翔太だった
健二の隣にしゃがみ込み、彼を励ます言葉を投げる
「君にしか解けないんだろ、これは!?」
万作もいつの間にか健二の横に来て、彼に声をかけた
「頼むっ!」
解体作業を続けながら、侘助は必死に叫ぶ
『健二!やれ!お前なら出来るっ!!』
侘助の隣で凪もまた、解体作業を続けながら声を荒げた
それに応えるかの様に、健二はレポート用紙をめくる
「はいっ!」
健二は筆を取り、必死に計算を始めた
刻々と迫る【あらわし】
次第に彼の背後には、陣内家の皆が集まる
「頑張れっ!」
夏希は彼の背中を押す様に、両手を添えた
そしてそれを見守る、陣内家の人達
「はいっ!!」
そんな彼を横目に、凪は理一に叫ぶ
『理一先輩!この辺りで1番被害の少なそうな土地の座標を、割り出しといて下さいっ!』
「わ、分かった!」
しかしラブマシーンも黙ってはいない
裏からパスワードを変更して来た
落胆する健二
だが皆に励まされ、再び暗号を解き始める
必死に筆を進め、計算し終えた彼はパスワードを打ち込む
直ぐに画面が切り替わる
≪開いたっ!≫
「…早い…」
健二の隣で見ていた佳主馬は、目を見開いて呟く
だが画面はまた、暗号の画面へと変わってしまう
≪締め出されたっ!≫
「くそっ!もう1度解きますっ!」
健二は悔しそうに畳を叩くと、レポート用紙をちぎって再度計算し始める
そんな彼に感化されたか
佳主馬は自身のPCを、モニターに繋げた
―Log In―
≪キングがログインした!≫
≪だけど動けるのか!?≫
「奴の演算速度が上なのかよっ!?」
解体作業を続けながら、侘助は吐き捨てる様に呟く
『侘助っ!』
「あぁ!?」
凪の視線の先には、佳主馬とモニター
その視線の意味に気付いた彼は、口角を上げながら頷いた
佳主馬は必死にキーを叩く
「焦るな。体力ゲージが回復するのを待て…無駄打ちは出来んぞ」
そんな彼を、万助がやんわりと窘める
「佳主馬!ヤツを叩けっ!」
そこへ飛んできた侘助の荒声
『侘助がヤツの守備力をゼロに、キングの体力ゲージを私が回復させた!やれっ!!』
侘助に続いて、凪も声を荒げる
ケンジのアバターを模したラブマシーンの手元が、キチキチと崩れ落ち始めた
ヨリヒコ達の手当を受けたカズマは、彼等に背中を押される
カズマの両腕をマンスケとナギが掴み、空彼方へと放り投げた
≪≪行って来いっ!≫≫
≪師匠!?お姉さん!?≫
数多のアバターが、彼に道を空ける
全ての希望を、彼に託す様に
≪後2分!!≫
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[モドル]