OZ内に佇むラブマシーン、その背後に何かのプログラムが走る




【OZ カジノステージへようこそ】





規則正しい機械の声が響くと同時に、彼の周囲をカジノステージのプログラムが囲む


戸惑いを隠せないラブマシーン



≪あなた、そんなにアカウントが欲しいの?≫



甲高い女性の声色が響く

ラブマシーンが振り向いたその先には



≪だったら私のをあげる――ただし!

私の勝負に勝ったらね!≫



鹿の耳に袴姿のアバターのナツキ

長着に襷掛け、その瞳には何処か栄を連想させた




【花札が選択されました】





ナツキの、いや全ての景色が和風な外見へと変貌する

それにラブマシーンは、辺りを見回す




【掛け金を設定して下さい】





≪掛け金は…私の家族!≫



彼女が叫ぶと同時に、ナツキの背後に多くのアバターが現れる

それは全て、陣内家のアバター



≪お互いのアカウントを賭けた勝負よっ!≫






「皆のアカウント、私が預かったわよ!」



大画面のディスプレイの前に

夏希を中心に侘助と健二と凪以外の、全員が集結する



「ばあちゃん、見守ってよ!」



スパコンの前では侘助と凪が、同時解体作業を進めていた

二人は素早く、テンポ良くキーを叩いていく



「侘助さん、姉さん。同時平行で、解体作業お願いします」

『あいよ、任された』

「ちっ!無駄にデカくなりやがって」



彼を見つめる健二は、ゆっくりと口を開いた



「侘助さんの開発は、とても素晴らしいです。手放したりしなかったらきっと…」

「…俺に似て、グレちまったか…」

『……』



その背中は、何処か寂しそうで



「…責任はとるさ」



呟いた彼の言葉に、様々な重みを感じたのは言うまでもない



「しかし、勝負に乗ってくるか…佐久間君を含めて20人、いくら何でもこんなちゃちぃ掛け金じゃ…」



そう。彼らの中にキング・カズマ、そしてナギは参加していない

キング・カズマは先の戦いで、既にラブマシーンに吸収されている


無事なのにも関わらず、ナギが参加しないのには理由があった


今彼女の手元に、ナギがない



この特設カジノステージプログラム微調整の為に、ナギはOZ運営側へ赴いているのだ



「黙ってろ。どんなちゃちぃ掛け金でも、俺達の命だ」

「勝負しろぉ!」



皆が叫ぶ中、侘助と凪は横目でソレを見やる



「乗ってくる、必ず」

『あぁ』



足を立て、静かに見守る佳主馬も肯定する様に頷く



「間違いない」



画面上に、参加するとの表記が現れた





【参加者が現れました】





『来たっ!』

「始まったな」

「はい」



それを確認したスパコン前の三人

健二は携帯を取り出す



「佐久間。僕の仮アカウントじゃ、ゲームに参加出来ない。夏希先輩のサポートを頼んだ」

《おう、任せとけって》





≪勝て、ナツキッ!世界の運命はお前に掛かっているっ!≫



マンスケが勢い良く叫ぶ



≪先輩!≫



そこへサクマがナツキの傍へと近付いた



≪時間がありません。1勝ごとにレートを引き上げていって下さい!≫

≪了解!≫




【このステージではカジノルールが
適用されます

"こいこい"一回ごとに
得点が倍になります

最後に上がったプレイヤーが
得点の総取りになります】





山札から二人に札が配られる




【柳に燕 菖蒲にカス

親がナツキさんに決定しました】





場に札も置かれ、準備が整った

STARTの表示が場に現れる



【それではゲーム開始です】





***
花札対決、開始!



[モドル]


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