―01:09:59:59―



狂ったワールドクロック



―01:09:59:58―



それは、謎のカウントダウンを刻み始める

するとワールドクロックから一斉に、画像が出てきた


その画像は、彼等が一度でも目にしているもの



『……この、画像……』

「な、何で…原子力発電所が…?」



戸惑う健二達の元に、万作達が帰って来た



「…大変だ…」

『まさかっ!?』



ディスプレイ前にいる理一が、驚愕の表情を浮かべる

凪は目を見開き、彼の横に急いで駆け寄ると、同じイヤホンを耳に装着した



『……う、そ……』



途端に彼女の顔色が変貌する

隣の理一が、絞り出す様に口を開いた



「米軍の秘匿回線で、アラームが鳴っている。

日本の小惑星探査機【あらわし】が、制御不能のまま地上へ落下中…」

「ええぇっ!?」




その事実に、皆が驚愕する。その背後には聖美達の姿も



『【あらわし】はGPS誘導で、任意の場所に落下出来る性能がある』

「もし奴がGPS制御を司るアカウントを奪っていたとしたら!」



二人の言葉で皆が一斉に、カウントダウンへ視線を向けた



「【あらわし】を操ってるって事!?」

「そ、それじゃ…このカウントダウンは…」

『世界500ヶ所以上ある核施設の何処かへ、【あらわし】が墜落するまでの時間…』






【大変な試合です!決勝は9回で勝負がつかず、延長戦となりました!】




高校野球の中継が流れる中、OZは大混乱に陥る

幾つものコメントが埋め尽くす




【いやぁ、勝てば甲子園なんですけどねぇ。やはり大きな壁なんでしょうねぇ】

【その強豪のプレッシャー、心身共にですね】

【昨日の準決勝も、ヒット30本打たれながら、マウンド上の陣内。
何と延長15回を、一人で投げ抜いております。果たしてこの決勝戦、心身の威力はどれほど残っているのでしょうか!】




TV画面に映る了平は、表情からして苦しそうだ

その中継を煎餅をかじりながら、由美は必死に観戦



「了平ぇ〜!」



***



一方、万理子達の手伝いをする夏希



「…あっ…」



彼女はある本に挟まれていた、一通の手紙を発見する


宛名は【家族へ】

イザという時読む事、と書き添えてあった



「こ、これ…」

「おばあちゃんの…」



すると夏希は意を決した様に、俯いていた顔を上げる

そして手紙を持って、部屋から飛び出した



「ちょ、夏希ぃ!?」



走る夏希を追い掛ける万理子達

彼女が向かった先は――



「皆っ!」

「遊びだって!?人間を滅ぼす事が遊びだって!?」




健二達の元へやって来た夏希を迎えたのは、佳主馬の叫び声



「えっ?」



いつの間にか部屋には、由美以外全員揃っていた



「そんな…ウソだろ…」

「奴にとって、これはただのゲームだ。何等かの思想や怨みでやってる事じゃない」

『米軍内もかなり混乱してる、無理ない。

ただの実証実験のつもりが、こんな事態を招くとは、連中も想定外だろう』



理一の隣でディスプレイを睨む凪は、苦々しく吐く

彼女に理一が続いた



「秒速7キロで落下する、直径1キロメートルの再突入体は、隕石や弾道ミサイルそのものだ。

仮に原子炉を突き破り、核物質が広範囲で撒き散らされた場合…被害は見当もつかない…」



ディスプレイから視線を外した凪は、彼にまたも続く



『混乱によって集まる情報や権力を食うのが、奴の目的だろう。
奴は効率の良い進化の仕方を知っている…だからより大きな混乱を招いた。

放っておけば、混乱と進化の無限ループだ』

「じ、じゃあ…どうすれば…」



戸惑う彼の真横の画面には、数多の書き込みが

それらは全て、キングに助けを請う…同じ内容



「今まで奪われたOZアカウントは全体の38%…4億1千2百万

その中からGPS官制を司るアカウントを取り戻す事――2時間以内に」

「4億人もの、OZアカウントなんて取り戻せる訳ないだろ!」




理一の言葉に、佳主馬は悲鳴を上げる様に吠えた



「しかし…他に方法が…」

「佳主馬…」



戸惑う様な声色が、彼に問い掛ける

佳主馬は目を見開いて、背後を振り向く


そこには恐れと戸惑いが隠しきれない、彼の母・聖美の姿が



「…何が…起こっているの?それ、ゲームの中の事でしょ?ね?…そう、よね?」



聖美を見て佳主馬は、キーボードを手繰り寄せる

そして素早くキーを叩き始めた




***
夢主の長文再び、今度は理一も参戦

微妙な所で切ってしまった…



[モドル]


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